天国にいる。
最高の世界。
と、その時、突然そこから下界へ突き落とされてしまった。
真っ逆さまに海に落ち、真っ暗な深海にまで落ち込む。
苦しい。
「お願い!!私を元に戻して…」
聞こえないの?あああ、、、
あの天国へもう一度戻りたい。
それでなければ、意味がない。
とうとう深海の一番下まで落ち込んだ。
そこでもがき苦しむ。
長くそこにいる。
何も見えないのは、とても辛い。
少しだけ浮いてみる。
やっぱり苦しい。少し上がるたびに、いちいち涙が出る。
ふと見ると、どうやら底の魚達は、光を発して忙しそうに働いているよう。
ぼっとしていても迷惑がかかるから手伝う事にした。
だけど、時々メソメソしてたら追っ払われてしまった。
次から気をつけよう。
そうこうしてる内に、気がつくと底から少しだけ浮いてきていたみたいだ。
まだまだ、海面は見えないけれど、一筋のひかりが差し込む位の位置にはきたみたい。
ああ、どうせならこのまま天国へ戻りたい。
天国の話を魚達に教えてもらう。
天国も進化してるのか、益々繁栄してるようだ。
サンゴの影に隠れてまた泣いた。
もう、天国へは戻れないのだと、じょじょに自覚しはじめる。
圧力の差で海面から上がるのがやっとだろうし。
じつは、空も飛べないし。
ああ。あれは異次元の世界だった気がする。
……やっと海面が見えてきた。
昔々にいたあの世界は、重力がしっかりあるところ。
この、無重力に慣れたカラダで大丈夫だろうか? そればかりが心配だ。
もしかしてペシャンコになるかも。。。
でも、本当は分かってる。
もう海面に顔を出せる事。
長かったな。
それを耐えた自分が少し誇らしかったりする。
そうだな1、2の3で出てみようか?
けど、外の空気を吸ったなら、もう二度と何処へも戻れなくなるんだよね。 。。
「ばかだな、もう戻れる訳ない事位、分かってる癖に…」つぶやく
明日、顔を出してみようかな。。。