スクープとは違うと思うが

「スクープ」とは違うと思うのだが、衝撃的だったというのでは当てはまるかも。

1997年、長野オリンピックが開催されていたときのこと。
まだこの頃は、父は現役バリバリで仕事をしていた。
平日だったが、代休か何かで父は家にいた。
のんびりとオリンピックを見ていた。
たしか、スピードスケートの長距離あたりだったと思う。
父がトイレに立った時に、電話が鳴った。
父の会社から。

トイレにいる父に変わって、私が用件を聞いたのだが…。
「号外を出すことになったから、直ちに出勤して欲しい」
という内容だった。
トイレから戻った父に伝えると、父もキョトン。
「オリンピックで号外級の出来事ってあったっけ？」
とポツリ。

実は、このオリンピックに関して、号外を出したがる編集と、出したがらない販売とで、バトルがあったというのは聞いていた。
スキージャンプ個人で、誰かがメダルを取ったら号外！と主張する編集と、必要ない！と主張する販売。
結局、「メダルを3つとも日本人選手が独占したら号外」ということで折り合いがついたと聞いていた。
だから、この時の「号外」もオリンピックに関連してか？と思った。

しかし！
電話から5分と経たないうちに、テレビの中でニュース速報のチャイムが鳴った。
その内容は、当時世間を騒がせていた代議士の自殺。
父の目の色が変わり、スーツに着替えることなく家を飛び出した。

新聞社に情報が入るのって早いんだね、としみじみ実感した。
だって、当時、インターネットなんてまだまだ脆弱なツール。
今のように誰もが簡単に情報を得られるような時代じゃない。
テレビの速報よりも先に、父に出勤命令が出たことに驚いたものだ。

さて、飛び出していった父が何の仕事をしたのかは聞いていない。
ヨレヨレのセーターで出て行ったから、多分、会社に残って電話対応とかそんなのをしていたんじゃないかな。