面白かったです。
途中、何度も涙ぐんでしまいました。
愛にもいろいろな形があるもんだよなぁと。
松子は小さいころ、お父さんに愛されたくって愛されたくって、
そのために生きていたような女の子。
お父さんの望む学校へ行き、仕事(教師)に就いてがんばった松子。
しかし、病気で寝たきりの妹に父の愛は一身に注がれていると
感じる松子は妹を恨み、そして自分をも恨み、家を飛び出すんですよね。
でも、真実は父が死んでから知るんだけど。
父は松子のことだって好きだったんだよね。
ただ、表現が下手だったというだけで。
家を飛び出してから父の日記には、
最後には必ず、「松子からの連絡なし」という言葉が書かれているんだよね。(;_;)
一人になるのは寂しいからと松子はとにかく愛を求めるんだよね。
でも、なかなかうまくいかなくて、何度も人生もう終わりだと感じる
出来事に遭遇します。
時には恋愛のこじれから人を殺して刑務所に入ったり、トルコ嬢をやったり、
恋人が目の前で踏み切り自殺で電車にひかれてバラバラになったり、
それでも松子はかならず誰かを好きになって人生をやり直そうとする。
でも、そのたびうまくいかないんだけどね。
最後には自分のかつて教え子だった子(その子のせいで、教職を
やめることになって、どん底人生が始まるんだけど)との再会で、
松子は彼を愛し、再び強く生きていこうとします。
その彼はヤクザなんだけど、組の金を隠れて使っていたことが
ばれて人を殺め、追われる身になって、警察に自首して刑務所に
入ってしまうんだけど・・・。
その彼は服務中、松子のことを忘れようとするんですよ。
それが松子のためだと思って、それが松子への愛だと思って。
出所する日を松子が待ち焦がれているのにも関わらず、
その彼は松子の前から消えることを誓うんですよね。
出所日、松子は彼を迎えに行くんだけど、彼は松子の顔面を殴って
逃げ去ってしまいます。
愛されることに慣れてない彼は、松子のまっすぐな愛が
とにかく怖くて逃げ出してしまうんです。
しかし、そんなこと理解不能の松子。
そのあと、彼は荒れて犯罪を犯し再び刑務所に入ってしまうんだけど、
そこでたまたま手にした聖書の中の「愛は神である」という言葉に出会い、
その言葉に妙に惹かれるんですよね。
(「神は愛である」だったかも知れない・・・・記憶があやふや)
そして、自分にとっての松子は神だったとその彼は思うんです。
しかし、そんなことを知らない松子はいよいよ本当にもう誰も信じないと
心を閉ざしてしまいます。
自分がかつて住んでいた風景に似た場所(荒川)の近くのアパートに
引越し、その川を眺めながら食っては寝ての生活。
そんな中で彼女に再び生きる力を与えたのは生身の人間ではなく、
テレビの中のアイドル「光ゲンジ」の内海くん。
グッズを買いあさったり、ライブのおっかけをしたり。
そして熱烈ファンレターを出すけれども当然のことながら返事は来ず、
「なんで返事こないの!!」と彼女はどんどん病んでいく一方。
そんなときに、刑務所で一緒だった友達に、自分の会社で美容師として
働かないかと声をかけられるんですよね。
最初は働く気などさらさらなかった松子だけど・・・。
最後はね、松子は誰かのためではなく、再び生きようとするんだよね。
それで、その誘いの仕事をしようと思うんです。
「自分はまだまだいける!」と思って。
それなのに、そう思ったその夜中、たまたま川原にいた
中学生の子どもたちに「早く帰るよう」にと注意したことがきっかけで
恨みをかってリンチを受けて死んでしまうんです。
最後は、妹がいる天国の階段を上るシーンでこの映画は終わります。
そのときの松子は笑顔です。
あと、劇中に出てくる言葉で、
人生の価値って、どれだけ誰かに何かをしてもらったかではなく、
どれだけ人に何かをしたかだと思うって言葉が出てくるんですよね。
その言葉が松子をとても救っているように思います。
はたから見れば散々な人生だったかも知れないけど、
松子はそのとき、そのときを懸命に自分と戦いながら生きていたんだろうなぁと
思えるし、実際、松子がいたおかげで元気づけられた人だっているわけだし、
生きる希望を見出した人だっているんだから。
そう、松子は松子が思っていたよりも随分、いろいろな人に愛されて
いたんですよね・・・。
それに気づいたのが少し遅かったかも知れないけど、
でも、それを知って松子はやっと自分のいるべき場所を見つけたようなそんな
気がしました。
だから、妹の待つ天国へと階段を上りながら笑顔でいられたのでは
なかろうか?そう、待っていたのは父ではなく妹。
松子がお父さんに求めてたのは「何かをしてもらおう」とする愛だった。
だから彼女をどんどん不幸にしたのだろう。
松子があの時、必要だったのは父からの愛ではなく、
妹を愛することだったのかも知れないと思う。
それが、この映画で出てくる「どれだけ人に何かをしたか」ということ。
松子は最後、死んだ妹を想いながら、妹の髪の毛を切る想像をする。
それで彼女はやっと、そのことに気づくんですよね。
自分に足りなかったもの、それは与えられる愛ではなく、
与える愛なんだということを。
うまく書けませんが、もう一回映画館で見てもいいかなぁと思える作品でした。
多分、もっと深い作品のように思うんですよね。
私、多分、見切れてないように思う。
父の愛が足りなくて不幸になった・・・というそんな映画ではないところが
いいなぁと思いました。
自分が不幸なのは、自分の考え方によるところが大きい、
人のせいではない、そう素直に思える作品とでもいうんだろうか。
そして、幸せになることは決して難しいことではなく、
周りの愛に気づき、周りの愛を受け入れ、
そして、愛を自分からも発すること。
そうすれば、自分の居場所がおのずとわかり、
他人や世間のいう幸せではなく、自分の求める幸せに近づけるのでは
ないのだろうか・・・と思えました。
あとね、とにかく、色彩が綺麗です。
けど、話の内容は好き嫌いにわかれるかも知れません。
私は好きでした。
最後は殺されるけど、なんかね、その前に彼女が幸せ(本当の居場所)を
見つけられるので、明るい気持ちで終われる映画です。
だから、「どんどん悪い状態になる映画なんて見たくない!」
からと途中で見るのをやめるんじゃなく、
見るからには最後まで見て欲しい映画です。
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