ちょい、ネタばれありですよ。(大あり?)
すごく複雑で繊細な心の動きを映像で表現した映画といえばいいのかなぁ。
登場人物の表情や雰囲気、情景で彼らの気持ちを読み取っていくような
映画です。だから、感想を・・・といっても言葉にならないって
いうか、難しい。
「ゆれる」っていうのは、吊橋が「ゆれる」ってのもあるんだけど、
特には人の感情。
批評家なんかはやっぱ言葉の仕事だけあってうまく表現してたりも
するんですけど・・・・ひとことでは言い表せない兄弟の気持ちの
やりとりがそこにはあって、・・・そして、それは決して理路整然に
語れるものでもなく、人間の曖昧さというのか、しかし、
人間の確かなものも描かれていたりと・・・いろいろなものが、
それこそ揺らいでる、ゆれているんですよね。
最後はハッピーエンドといえばいいのかなぁと思います。
人間はものごとや、人に対してひとつの感情ではない。
全くの愛や全くの憎悪や嫉妬ということはそうそうないのではないかと思う。
だからこそ、人の感情は「ゆれる」のだろう。
でも、奥底にはしっかりとした揺るがない繋がりもあるんだ、
表面上「ゆれる」ことはあっても・・・と、
そう思える映画に私は思えました。
パンフの中の批評家の言葉にすごく面白いなぁと思う言葉があったので
ここに紹介しておきます。
川本三郎という批評家のコメントの中で田村隆一の詩「四千の日と夜」の
言葉が紹介されていました。
「一篇の詩を生むためには、
われわれはいとしいものを殺さなければならない」
すごく興味深い言葉だなぁと思ったんですよね。
それで、この「ゆれる」という映画の監督は、西川美和という方なんですけど、
西川さんはこの映画で兄弟愛について、まさにその詩の言葉を実践してると
川本さんが批評してたんですよね。
「法廷で、また、面会の場面で、西川美和監督はこれでやるかと思わせるほど、
兄と弟を傷つけ合わす。~(中略)~二人とも、傷だらけになる。ボロボロになる。
それでもこの映画は決して不快感を与えないのは、西川美和監督の、本当の
家族愛や兄弟愛を取り戻すためには、一度、すべてを壊さなければならない
という再生の思いが、強く感じられるからだろう。」
とにかく、そのシーン、そのシーンで、兄弟二人が今、
どんな気持ちなのかを考えてしまう映画です。
最後のシーンは、本当にほっとしました。
■パンフについて
パンフは新書サイズで、カバーに入っており、
カバー内にはパンフと、ポストカード(12枚)が入ってました。
小さいですが読み応えはありますよ。
あとポストカードもすてきです。
値段は800円(上記写真参考)
■「ゆれる」
製作年度 2006年
上映時間 119分
監督 西川美和
出演 オダギリジョー 、香川照之 、伊武雅刀 、新井浩文 、真木よう子 他
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