誰にでも思い出の一枚となる写真がある事でしょう。
ある日車で普通に走っていましたら、急に金色に輝く麦畑が見えました。
慌てて車を停めて撮影しようと思ったんですが、
そこは畑に入らないと撮れない場所でした。
僕はしばらく畑の周りを撮影ポジションを探すためぐるぐると歩きまわっていました。
そこにちょうど地主である農家の方が来られて、
「俺の家から見てたんだけどさ~あんたぐるぐる熊みたいに畑の周りを歩いて何してんの?」
「あ~ごめんなさい!」
という事で事情を説明しましたら、
彼はにっこり笑って、
「写真家は皆畑の中から撮りたいんだよな。そうだろ? あんたの好きな撮影場所も畑の中なんだろ? 麦踏み倒して撮りたいんだべ? 正直にしゃべった方がええぞ…。」
彼はけして嫌みでなく、笑って語りました。
今までの写真家が多数畑に入って撮影していたからでしょう。
こちらの農家の方は、写真家とはそんなものだと考えていたようです。
「僕はこの素晴らしい金色に輝く麦を、
踏み倒したいなどと考えた事は無いです。
もし畑に入らなければこの麦を撮れないようなら、それは未熟な写真家です。
でも僕は畑に入らないで撮ってみせますよ!
そしてご主人にその写真を差し上げます…。」
そう言って僕は撮影を始めました。
この時オリンパスのおもちゃの様に見えるカメラしか持っておらず、このご主人はただ笑って僕の撮影現場を見ていました。
そして最後に一言、
「あんた、三本足の…何て言ったっけ…それも持ってないのかい?」
「三脚ですか?僕は使いません!」
そう言いましたら、こりゃど素人だ・・・きっとそう思ったのでしょう、
いつのまにか帰られて気がついたらいませんでした。
(#^.^#)
それから数日後、
自分でプリントして額装した写真を手渡すと、息子さん、奥さんと3人でご覧になられて、しばらく沈黙された後で、
「これは凄いわ!素晴らしいわ!!」
「あんた畑に入らないでこんな写真撮れるんだね!!!!!」
そう言って喜んで下さいました。
地主の農家の方に喜んで頂き、気に入って頂けて嬉しかったです。また僕はその時に改めて心に決めました。
「俺は畑に入らないで芸術写真を撮る」
(*^_^*)(#^.^#)
「金色の麦」
北海道美瑛町
追伸
この写真は撮影以上に現像が大変でした。
金色の麦をどう表現するか?
何日も悩みました。
カメラ本体ではこの色は表現不可能でしょう。
プリントするのも難しい作品です。
人間の知識と技術がカメラにまだ負けない証拠です。
少なくとも僕はそう考えています。
(#^.^#)
ケント白石
北海道を世界に売り込む侍写真家
Professional & SAMURAI Photographer Kent Shiraishi
ケント白石 写真家の宿「てふてふ」
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