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聴刻堂日乗

映画「ファーザー」

映画「ファーザー」を観た。

2020年の英・仏・米の合作。
監督はフローリアン・ゼレール。
出画はアンソニー・ホプキンス他。

認知症が進行する老父とケアする
娘の話。

映画は、大きな誇張やファンタジー
はなく、極めて実態的な描写だ。
老父自身の困惑も、娘の心労も、
周囲の人のいらだちも、真面目に
真正面から描写されている。

本作は、2020年と2021年初頭
を対象とした第93回アカデミー
の主演男優賞と脚色賞を受賞。
演技、演出は文字通り迫真だった。

今の日本ではこんな描写の映画は
作られないだろう。なぜなら巷で
あり過ぎるくらいありふれた日常
だから。

老化と認知症の問題は厄介だが、
解決策なんてありはしない。
あるがまま受け入れるしかない。
映画を観ながら再認識した。

自分は今ケアする立場だが
される立場になる前に、
静かに消えてしまいたい。

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