夏の最後の輝きが、秋の訪れに徐々に飲み込まれていく。その日の夕暮れ、空にはまだ夏の温もりが残り、薄くオレンジ色に染まる雲がゆっくりと流れている。名古屋では、熱気を帯びた日中の空気が長い影を引きずりながら、次第に涼しさを感じさせる風へと変わっていく。草木は黄金色に輝き、遠くに広がる田園風景は、まだ夏の光を惜しむかのように赤く燃えている。
一方で、東京の朝は明らかに異なる表情を見せている。澄んだ冷たい空気が肌に触れると、季節が確実に進んでいることが感じられる。遠くの富士山には、初雪が降り積もり始め、その白い姿が秋の到来を静かに告げている。木々の葉は、まだ鮮やかな緑を保っているものの、その端々が黄や赤に染まり始め、まるで季節の変化を前に控えているかのようだ。
秋の足音が静かに響き始めたこの瞬間、自然は夏と秋の二つの季節が重なり合う奇跡を描き出している。すべてが移ろいゆく中で、夏の名残と初秋の爽やかさが、まるで一つの舞台の幕引きと開幕の間に生まれる儚い瞬間を捉えたかのように感じられる。
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