商材を求める人(その1)と、売場の環境(その2)の想定が決まったら、3つ目の条件である「その時点での既視性」を考えてみましょう。
少し難しそうな言葉に聞こえるでしょうか?
ザックリ言うなら、トレンドをどの程度加味するか?を考えよう!というお話です。
既視性とは、商材だったり、その広告だったりがリリースされた時点で、初めて見たはずなのに同じようなモノ・コトを過去に見たように感じるその度合です。
この度合いが、注目度の獲得にどう影響するのかを整理してみたいと思います。
少し難しそうな言葉に聞こえるでしょうか?
ザックリ言うなら、トレンドをどの程度加味するか?を考えよう!というお話です。
既視性とは、商材だったり、その広告だったりがリリースされた時点で、初めて見たはずなのに同じようなモノ・コトを過去に見たように感じるその度合です。
この度合いが、注目度の獲得にどう影響するのかを整理してみたいと思います。
◀初見でも前に見た気がする
【視覚的要素は重要?】
今回もまず最初に前提を確認します。
多くの人は主に視覚情報によって様々な判断をしていて、その割合は 80%以上(83~87%)とされています。
そしてもう一つ、ビジネスシーンでも有名?なメラビアンの法則(3Vの法則)によればコミュニケーションにおける視覚の優位性(優先度)は 55%、聴覚 38%で、この二つで実に93%となり、残る言語の7%を圧倒しています。
これらの事実から、初動で人に何某かを訴えるなら、これはもう「視覚的な要素」一択!と、断じて差支えないでしょう。
逆に言語を主とした訴求で、3秒の壁の攻略は厳しいかもしれません。
キャッチコピーなどは確かに有力な要素ですが、認知の仕組み上、厳密に言えばこれも壁を越えた後でないと効かない?と考えられます。
聴覚訴求については、駆使できる環境が限られます。まさか売場で鳴り物(サウンドギミック)を常時使うという訳にはいかないですからね?
◀よく見る言語のみによる訴求
では視覚要素を駆使するとして、あえては誰も言わないその仕組みをもう少し堀ってみましょう。
昔々、アメリカの映画館で、ある市場調査が実施されたそうです。その調査とは、上映中の映画に「コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージを繰り返し表示させるというものです。メッセージの表示時間は1/3000秒で、鑑賞者は誰もこのメッセージに気づけません。
調査の結果、売店の売上は、コーラ 18.1% ポップコーン 57.5% 増だった…と。
いわゆる「サブリミナル効果」の話ですね。
この調査の真偽はともかく、重要なのは「人は無意識下で認知が成立する」という事実です。
皆さんを含め、お客さまが1秒に満たない短時間で、自分に必要な情報の取捨選択を行えるのは無意識下認知のおかげと言えます。
これは要る、これは要らない、といった思考による判断の必要なく、人は無意識下で情報を切捨てます。どんなに長くても3秒で情報が判断されるという「3秒の壁」の正体は、精神構造としての脳の情報処理の仕組みだったという訳です。
◀映像認知は言語に勝る?
ちなみに、先の市場調査の結果は、言語の優先度が低いとする3Vの法則に矛盾する。と思った方もいるかと思います。
少し脱線しますが、実はこの衝撃的な市場調査は、テレビ放送による再調査が行われました。結果、短時間のテキストメッセージに反応した視聴者は認められませんでした。
ただ無意識下での認知は今や公然の事実となり、公共性の高い媒体における恣意的サブリミナル効果の行使は、公平性を欠くとして日本はもちろん他国でも禁止されています。
筆者の勝手な憶測ですが、映画館の調査はテキストメッセージだけではなく、実はコーラとポップコーンの映像があった。としたらどうでしょう?
であれば、法則の矛盾も、再調査の逆転結果も、商品の売上差が大きかった理由(ポップコーン映像の方が判りやすく美味しそうだった)にも説明がつくような気はします。
さて、根拠のない憶測はともあれ、
「人は無意識下で認知が成立する」との前提を踏まえ「既視性」という事を考えてみましょう。既視性と注目度には、いったいどのような関係性が見出せるのでしょうか?
筆者の勝手な憶測ですが、映画館の調査はテキストメッセージだけではなく、実はコーラとポップコーンの映像があった。としたらどうでしょう?
であれば、法則の矛盾も、再調査の逆転結果も、商品の売上差が大きかった理由(ポップコーン映像の方が判りやすく美味しそうだった)にも説明がつくような気はします。
さて、根拠のない憶測はともあれ、
「人は無意識下で認知が成立する」との前提を踏まえ「既視性」という事を考えてみましょう。既視性と注目度には、いったいどのような関係性が見出せるのでしょうか?
▼ありふれたトレンドに埋没しない工夫を
【A社のようにして下さい?】
ある時期、A社製品が大いに国内市場を賑わせました。すると競合、関連製品はもちろん、様々な企業がA社製品の広告イメージを踏襲するビジュアルを求めてきたのです。
この傾向は、A社が広告イメージを刷新するまでの2~3年の間続きました。
こうした事例は枚挙にいとまがありません。
セピア調が流行れば誰もが温調を望み、教科書体が当たれば教科書体が望まれ、俯瞰(ふかん)の画が流行れば俯瞰を求めます。
他者の成功やトレンドを追うというのは、しごく普通の行動ですし、別に悪いという事はありません。
それが目的に適ってさえいれば。ですが…
どうでしょう?皆さんにも、そういった覚えがあったりしますか?
皆さんと3回にわたり考えを進めてきたのは壁の攻略(注目の獲得)です。
トレンド(多勢)に寄せる行為は、その他大勢と同じになるという事です。
皆と同じならば、自分が注目を得るという目的からは遠のくでしょう。
他者に似せるのは、必ず先行する成功者がいるからです。大抵の場合は、二番煎じ、模倣(類似品)といったネガティブな印象を与えるリスクを負います。
ではオリジナルを追求し、他とは全く違う!となると、それはそれでスルーや批判を受けるリスクが生まれます。
他者に似せるのは、必ず先行する成功者がいるからです。大抵の場合は、二番煎じ、模倣(類似品)といったネガティブな印象を与えるリスクを負います。
ではオリジナルを追求し、他とは全く違う!となると、それはそれでスルーや批判を受けるリスクが生まれます。
何故なら、少しの既成情報もないモノ・コトを見せられても理解できないからです。
なので適度な既視性は必須と言えるでしょう。
また前例のない試行は、それなりの勇気が要りますよね?ウケれば良いのですが、スベる可能性もある訳ですから。
◀理解不能だと注目されない
ではいったいどうすれば良いのでしょうか?
結論すれば、消費者の無意識下判定に自分たちの情報を通すには、視覚表現が最も有効だと解っても、結局は、“お客さま”や“場”の環境を見て、程よいバランスの既視性を持つ訴求を目指すしかない。という事になります。
ただ以下を徹底して心がければ、あるいは合格判定に近づけるかもしれません。
1)最優先を1つだけ!
2)複雑を避けシンプルに!
3)自分の満足ではなくお客様の満足!
4)トレンドは隠し味に!
“人” や “場” をよく見て、自分の振舞い(訴求)を決めましょう。
こうして考えを進めてみると、プロモーションに慣れた大手も情報の収集や発信(訴求)には大いに苦労していて、時には失敗もあるのだと解ります。
つい最近も、外食大手のAIによるCMが不興を買っていました。
こうして考えを進めてみると、プロモーションに慣れた大手も情報の収集や発信(訴求)には大いに苦労していて、時には失敗もあるのだと解ります。
つい最近も、外食大手のAIによるCMが不興を買っていました。
けれども個人的には、既視性の薄い訴求に踏み出せる胆力と試行力はさすがで素晴らしい!と感じました。後追いではなく、先駆けを目指す姿勢は忘れたくないものです。
▼薄い既視性に賭ける事も重要
そしてどうやら「これをやればOK!」などという魔法(ツールや方法)はないのだという事が解りました。
といって、全てを自分一人で考え、決めるのは大変すぎですね?
分からない事は、周りの人たちに聞いてみて下さい。
それで解決しなければ、ぜひ分かりそうな人に相談してみましょう。
Co-BusinessMateも、そうして仕事を続けています。
さて壁の攻略編は、今回で一旦おしまいです。
本当は個別案件についてのソリューションをご紹介したかったのですが、宣伝臭くなるので概論で止めておこうと思います。
長文にお付合いいただき、ありがとうございました。
視覚訴求の話が出ましたので、次回は「キービジュアルって何だ?」です。