Co-BusinessMate

作り手、買い手、売り手、送り手、伝え手さんを一綴りに考える。
ビジネス情報共有ブログです。

3秒の壁って何だ?(攻略編3)

2024年09月10日 12時15分00秒 | あえて誰も言わない雑記
商材を求める人(その1)と、売場の環境(その2)の想定が決まったら、3つ目の条件である「その時点での既視性」を考えてみましょう。
少し難しそうな言葉に聞こえるでしょうか?
ザックリ言うなら、トレンドをどの程度加味するか?を考えよう!というお話です。
既視性とは、商材だったり、その広告だったりがリリースされた時点で、初めて見たはずなのに同じようなモノ・コトを過去に見たように感じるその度合です。
この度合いが、注目度の獲得にどう影響するのかを整理してみたいと思います。
 ◀初見でも前に見た気がする

【視覚的要素は重要?】
今回もまず最初に前提を確認します。
多くの人は主に視覚情報によって様々な判断をしていて、その割合は 80%以上(83~87%)とされています。
そしてもう一つ、ビジネスシーンでも有名?なメラビアンの法則(3Vの法則)によればコミュニケーションにおける視覚の優位性(優先度)は 55%、聴覚 38%で、この二つで実に93%となり、残る言語の7%を圧倒しています。
これらの事実から、初動で人に何某かを訴えるなら、これはもう「視覚的な要素」一択!と、断じて差支えないでしょう。
逆に言語を主とした訴求で、3秒の壁の攻略は厳しいかもしれません。
キャッチコピーなどは確かに有力な要素ですが、認知の仕組み上、厳密に言えばこれも壁を越えた後でないと効かない?と考えられます。
聴覚訴求については、駆使できる環境が限られます。まさか売場で鳴り物(サウンドギミック)を常時使うという訳にはいかないですからね?
 
◀よく見る言語のみによる訴求

では視覚要素を駆使するとして、あえては誰も言わないその仕組みをもう少し堀ってみましょう。
昔々、アメリカの映画館で、ある市場調査が実施されたそうです。その調査とは、上映中の映画に「コーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージを繰り返し表示させるというものです。メッセージの表示時間は1/3000秒で、鑑賞者は誰もこのメッセージに気づけません。
調査の結果、売店の売上は、コーラ 18.1% ポップコーン 57.5% 増だった…と。
いわゆる「サブリミナル効果」の話ですね。
この調査の真偽はともかく、重要なのは「人は無意識下で認知が成立する」という事実です。
皆さんを含め、お客さまが1秒に満たない短時間で、自分に必要な情報の取捨選択を行えるのは無意識下認知のおかげと言えます。
これは要る、これは要らない、といった思考による判断の必要なく、人は無意識下で情報を切捨てます。どんなに長くても3秒で情報が判断されるという「3秒の壁」の正体は、精神構造としての脳の情報処理の仕組みだったという訳です。
 
◀映像認知は言語に勝る?

ちなみに、先の市場調査の結果は、言語の優先度が低いとする3Vの法則に矛盾する。と思った方もいるかと思います。
少し脱線しますが、実はこの衝撃的な市場調査は、テレビ放送による再調査が行われました。結果、短時間のテキストメッセージに反応した視聴者は認められませんでした。
ただ無意識下での認知は今や公然の事実となり、公共性の高い媒体における恣意的サブリミナル効果の行使は、公平性を欠くとして日本はもちろん他国でも禁止されています。
筆者の勝手な憶測ですが、映画館の調査はテキストメッセージだけではなく、実はコーラとポップコーンの映像があった。としたらどうでしょう?
であれば、法則の矛盾も、再調査の逆転結果も、商品の売上差が大きかった理由(ポップコーン映像の方が判りやすく美味しそうだった)にも説明がつくような気はします。
さて、根拠のない憶測はともあれ、
「人は無意識下で認知が成立する」との前提を踏まえ「既視性」という事を考えてみましょう。既視性と注目度には、いったいどのような関係性が見出せるのでしょうか?
▼ありふれたトレンドに埋没しない工夫を

【A社のようにして下さい?】
ある時期、A社製品が大いに国内市場を賑わせました。すると競合、関連製品はもちろん、様々な企業がA社製品の広告イメージを踏襲するビジュアルを求めてきたのです。
この傾向は、A社が広告イメージを刷新するまでの2~3年の間続きました。
こうした事例は枚挙にいとまがありません。
セピア調が流行れば誰もが温調を望み、教科書体が当たれば教科書体が望まれ、俯瞰(ふかん)の画が流行れば俯瞰を求めます。
他者の成功やトレンドを追うというのは、しごく普通の行動ですし、別に悪いという事はありません。
それが目的に適ってさえいれば。ですが…
どうでしょう?皆さんにも、そういった覚えがあったりしますか?
皆さんと3回にわたり考えを進めてきたのは壁の攻略(注目の獲得)です。



トレンド(多勢)に寄せる行為は、その他大勢と同じになるという事です。
皆と同じならば、自分が注目を得るという目的からは遠のくでしょう。
他者に似せるのは、必ず先行する成功者がいるからです。大抵の場合は、二番煎じ、模倣(類似品)といったネガティブな印象を与えるリスクを負います。
ではオリジナルを追求し、他とは全く違う!となると、それはそれでスルーや批判を受けるリスクが生まれます。
何故なら、少しの既成情報もないモノ・コトを見せられても理解できないからです。
なので適度な既視性は必須と言えるでしょう。
また前例のない試行は、それなりの勇気が要りますよね?ウケれば良いのですが、スベる可能性もある訳ですから。
 ◀理解不能だと注目されない

ではいったいどうすれば良いのでしょうか?
結論すれば、消費者の無意識下判定に自分たちの情報を通すには、視覚表現が最も有効だと解っても、結局は、“お客さま”や“場”の環境を見て、程よいバランスの既視性を持つ訴求を目指すしかない。という事になります。
ただ以下を徹底して心がければ、あるいは合格判定に近づけるかもしれません。

1)最優先を1つだけ!
2)複雑を避けシンプルに!
3)自分の満足ではなくお客様の満足!
4)トレンドは隠し味に!

“人” や “場” をよく見て、自分の振舞い(訴求)を決めましょう。
こうして考えを進めてみると、プロモーションに慣れた大手も情報の収集や発信(訴求)には大いに苦労していて、時には失敗もあるのだと解ります。
つい最近も、外食大手のAIによるCMが不興を買っていました。
けれども個人的には、既視性の薄い訴求に踏み出せる胆力と試行力はさすがで素晴らしい!と感じました。後追いではなく、先駆けを目指す姿勢は忘れたくないものです。
▼薄い既視性に賭ける事も重要

そしてどうやら「これをやればOK!」などという魔法(ツールや方法)はないのだという事が解りました。
といって、全てを自分一人で考え、決めるのは大変すぎですね?
分からない事は、周りの人たちに聞いてみて下さい。
それで解決しなければ、ぜひ分かりそうな人に相談してみましょう。
Co-BusinessMateも、そうして仕事を続けています。

さて壁の攻略編は、今回で一旦おしまいです。
本当は個別案件についてのソリューションをご紹介したかったのですが、宣伝臭くなるので概論で止めておこうと思います。
長文にお付合いいただき、ありがとうございました。

視覚訴求の話が出ましたので、次回は「キービジュアルって何だ?」です。


3秒の壁って何だ?(攻略編 その2)

2024年09月02日 12時15分00秒 | あえて誰も言わない雑記
お客さまの注目を得るには、その商材を求める人が誰なのか?を具体的に知る必要があります。「3秒の壁って何だ?(攻略編 その1)
誰に向かうでもなく、ただ大声を張り上げても、ポジティブな興味で足を止める人は少ないでしょう。
自分が話しかける相手はしっかりと定めましょう。
さて、考えるべき2つ目の条件は「隣に並ぶ商材」です。
競合商品の事?と、そう思われたでしょうか?もちろん競合も含みます。が、文字通り、隣に並ぶものが何かを想定してみるという事になります。
 
◀群は注目されるが個は埋没する

【選択肢は“必ず存在”する】
最初に前提を確認します。
一切、他を考えず、常に全て決まったものだけを買う。そうした人はいないでしょう。
選ぶのが面倒なので、大体買うもの、行く店は決めている。そうした人でさえ購入体験全体を通してみれば、実に多くの場面で何らかの選択を経て購入を判断し、そして決定しているはずです。
逆に、あれこれと比較検討し、最も納得できるものだけを購入するという人もいるでしょう。
さて皆さんはどうでしょうか?
少なくとも買い物が楽しい!と感じた経験は誰にでもあると思います。
では「買い物の楽しさ」の本質とは何でしょう?
まずは自分の要望に相応しい選択肢を見出し、複数を比較、検討して最も満足できる商品を決める。いろいろ見て、試して、期待するメリット(ハッピー)を得た自分を想像する。それが買い物の楽しさではないでしょうか?
 
◀選択肢が買い物が楽しくする

つまり買い物(全ての商材)には、必ず他に選択肢となるモノ・コトが存在すると思われます。
そしてその選択肢の存在が、お客様にとっての豊かさに通じているのだと考えられます。
ではこの前提を踏まえ、「競合」という事を考えましょう。競合とは何でしょう?

【うちの商材に競合はない?】
もしかすると、そう考える事業者さんは意外と多いのかもしれません。
何故なら、過去、数多の国内事業者さんのプロモーションを拝見してきて、正しく競合を意識していた企業さんが稀だったからです。
商材の独自性を強く推し、他に比較して勝る。そうした主張を希望する場合が多かったように思います。
ひょっとすると皆さんにも、そうした独自性の主張があったりするでしょうか?



ここで改めて、私たちが考え進めている事を思い出して下さい。

3秒以内で。

その独自性の訴求は、行き交うお客様の足を止め、商材に目を向けさせるでしょうか?
製品、パッケージ、POP、陳列方法、広告…いずれにしろ、秒で伝わり、お客様の注目を得られそうですか?
競合意識分布図の「1」エリアの、さらに右上にマッピングされる商材なら、あるいは可能かもしれません。
さて、皆さんの商材はどのエリアにありますか?
そして隣に並ぶ商材はどのエリアにあるでしょう?
 
◀競合商品群が並ぶ

隣(記憶を含む)に並ぶ商材を想定して、何を訴えかけるべきか?を考えてみましょう。
どれだけ優れた独自の仕様や性能、造りへのこだわりも、全てはお客様が商材に気づいた後でなければ伝える事は叶いません。
そして競合とは、何も類似、代替品ばかりではありません。

前回投稿では知育玩具を例として取り上げましたので、踏襲して考えてみます。
現実的には、親が知育玩具を買い与えたいと考えても、子供が興味を示さなければ購入判断は厳しいものになります。
その場合、競合するのは図鑑や、自然に親しむキャンプになるかもしれません。
親は子供の知育(教育)が目的だからです。
また祖父母が購入者の場合は、ゲーム機やゲームアプリ、あるいは服やスニーカー、商業施設のイベントになるかもしれません。
祖父母は孫に喜んでもらう事が目的だからです。
 ◀知育玩具は超激戦区

すなわち御社製品を選択しなかった際に、お客様が選ぶ他のモノ・コトはその売場以外にも存在します。そしてこれらも全て競合なのです。
実のところ、競合は誰に何をどう訴求するかで変化します。
知育玩具を子供ではなく、高齢者に向けた脳トレツールと訴求すれば、競合はまったく違う相手となります。

【隣に並ぶとは?】
競合を含めて、売場には必ず隣に並ぶ商材があるはずです。競合になり得ない商材でも、可能な範囲でこれを想定します。
例えとして知育玩具・・・いえ、もう少し具体的にブロックを考えてみましょう。
競合意識分布図にマッピングします。



今、売場にはLブロックとRブロックがあります。
見ての通り、Lブロック一強と言える状況ですが、売場も取扱うからにはRブロックも等しく売りたいはずです。
なので、もろに競合するこの二つを並べるような事はしません。
Lブロックは専用の棚を作り、Rブロックは離れた別の棚にパズルや積木と一緒に置きます。
専用棚はお客さまにLブロックを強く訴求できます。
一方、Rブロックはパズルや積木を検討するお客様の選択肢の一つとして注目を得る可能性が生まれます。
パスタを買いに行って、横にパスタソースやチーズやワインが見えると、つい手を出したくなりませんか?
つまり関連商品として陳列すれば、注目を作れるという事です。
 
◀世界的なシェアを持つ強力な競合

しかし、Lブロックには隣に並ぶ商材がないのでは?
実体としては確かにそうなりますが、比較的知名度があり、よく似たデザイン性を持つDブロックや、12歳以上を対象としたNブロックなどが、お客様の記憶や購入体験にあるかもしれません。
つまり単独の売り場では、常にお客さまの記憶や購入体験が商材の隣に並ぶ事になります。

「商材が置かれる環境」を可能なかぎり想定しましょう。
もちろん全ての状況を事前に確定できる訳ではありません。
重要なのは「想定する」という事です。
前稿の「それを欲する人」もそうですが、初手から正確な設定など誰にも出来ないと思います。
結果として、想定と違えば、何が?どの程度?どう違ったのか?を知る事が出来ます。
ただし想定の無いまま幾度同じ事を繰り返しても、成果を上げるための正答は決して得られず、場当たり的な対応となります。
店舗データの取得も、解析もより確度の高い想定を得るためのものです。
 ◀客観的データが想定の確度を上げる

プロモーションはコミュニケーションですから、一方的に自分の事を発信するのではなく、お客さまや売場、そして隣に並ぶ商材を知ることから始めましょう。
“彼を知り己を知れば…”の故事ではありませんが、相手と自分が解れば絶対に負けはありません。
「隣に並ぶ商材」が見出せたら、そこから訴求を考え、認知の壁を超える武器としましょう。

壁の攻略編その2では「隣に並ぶ商材」について考えてみました。
競合や隣にあるモノ・コトを想定するという事は、お客様の意識を、そして皆さん自身の買い物体験を考えるという事になると思います。

次回、壁の攻略編その3では「その時点での既視性」について考えます。


3秒の壁って何だ?(攻略編 その1)

2024年08月23日 20時30分17秒 | あえて誰も言わない雑記
3秒の壁とは「販売」に至るための入口です。
スタートラインと言っても良いでしょう。
商材の「存在」を欲する人に気づかせる。たったそれだけの事が近年では難関なのです。だからこそ壁と呼ばれるのでしょう。ともあれ、この壁は必ず突破する必要があります。でなければ売るためのスタートラインにすら立てませんからね。
そこで3回に分け、その攻略を考えてみたいと思います。壁の突破とは単純な話、お客様の「注目を得る」という事です。
 
◀お客様に気づいてもらう。その壁は高い

【“必要”を繋げる】
単純な話、存在に気づかせるなら「目立たせれば良い!」と思うでしょうか?
間違いではありませんし、そうした意図の広告や展示、パッケージを目にする機会も多いように思います。問題はその目立たせ方です。
言うまでもなく「悪目立ち」でも良い!とする手法はお勧めしません。炎上マーケを含め “危機感を煽る” “大げさに効果を謳う” “商材と無関係の話題で釣る” など故意に誤解や意識の隙を狙うような手法は、別機会として今回は除外します。
期間限定の売り抜けではなく、中長期的に成果を上げ続ける事を目指す正攻法での攻略を考えてみましょう。
 
◀ネットには気になる情報が…?

まずは前提として「壁」を超え、商材に気づかせたところで、それで売れる!とはなりません。
「店舗データって何?」(解析編)の「購入システム」の考え通り、最初の判定(壁)を越えた後にも、さらに2つの判定に当選し、最終的に購入の検討に辿り着かねばなりません。そこでそのために“必要な要件”を「購入」から逆算して考えます。



購入には → 「十分な購入動機」が必要
購入の検討には → 「十分な必要性や好感」が必要
必要性や好感を得るには → 「十分な興味」が必要
興味を得るには → 「求める人に向けた訴求」が必要
求める人に向けた訴求 → 「注目」の可能性が生まれる
つまり、お客様の「注目を得る」には、単に目立たせるという事ではなく、その商材を必要とする、あるいは好むであろう人に向けた訴えかけが必要になるわけです。

【商材を求める人とは?】
今、自社の商材を欲しがる(求める)、その可能性があると思われる人に向け、訴求を考えましょう。けれども、いったい具体的には何をどうすれば良いのでしょうか?
当然、商材や販売フェーズ、事業環境により異なりますが、いずれにしろ共通した「考えるべき条件」と呼べるものが3つあります。

1. それを欲する人
2. 隣に並ぶ商材
3. その時点での既視性

まずは「それを欲しがる(求める)人」をきちんと想定
 ◀誰が何故欲しい?
これはいわゆるターゲット層の設定とは違います。
ちなみに事業者さんにターゲットを尋ねると「30~40代の女性」「海外の富裕層」といった答えが多く返ってきます。ただ、こうした答えは単なる希望販売先であって、現状に整合しない場合が多いように思えますし、訴求相手と定めるには範囲が広過ぎます。
「誰が?」だけではなく、その人は「何故」それを求めるのか?をセットで考えましょう。

例として、仮に知育玩具を考えます。
 
◀親以外の購入者カテゴリーとは?
◆ 知育玩具を欲しがる(求める)人とは主に「誰」でしょう?
 ・子育て中の両親 (30~40代)
 ・孫のいる祖父母 (50~70代)
 ・子育て中の知人や友人がいる人 (30~60代)
◆ その人は何処にいる?
つまり「何処」で「いつ」購入するか?要は購入の機会と方法(場所)の想定です。
子どもと一緒か?別なのか?により、主な購入機会は変わります。
 ・誕生日、記念日
 ・子供が来た時
 ・子供を訪ねる時
 ・子供と売場に行く時
都市部か地方(遠隔地)かにより、主な購入方法(場所)も変わります。
 ・大型商業施設
 ・オンラインショップ
 ・専門店
◆ その人はどんな価値観を持ち、どのように暮らしている?
商材の特徴、仕様、価格との親和性になります。主に「何」を重視し「どのように」購入判断を下すのかを想定します。
 ・安全
 ・素材
 ・知育実効性
 ・既存の評価
 ・メーカー、ブランド(または生産国)
重視する価値観と経済事情の兼ね合いを想定します。
 ・余裕あり
 ・多少の余裕あり
 ・余裕なし

これらの想定から商材を欲しがる(求める)人を考えます。
商材例:1)樹脂製のカラフルなブロックで価格帯が数千円なら…

子育て中の両親かもしれません。
子育て世代は経済的な余裕がありません。
安全性を重視するでしょう。
素材も重視されそうですが、子供が興味を示さなければ買いません。
売場は大型の商業施設か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は特別なイベント事がなくても買ってもらえそうで、頻度も望めそうです。

商材例:2)木製の海外ブランドで価格帯が2万円以上なら…

両親の希望を受けた祖父母か、経済的余裕のある両親かもしれません。
自然派志向で、ブランドやメーカーは重視するでしょう。
インテリア性も重視され、子供は少しの興味さえ示せば購入するかもしれません。
売場はセレクト系の専門店か、オンラインになるでしょう。
購入の機会は節目となるイベントや、特別な機会でそれほどの頻度は期待できないでしょう。

一口に、知育玩具と言っても想定が少し異なれば、それを欲しがる(求める)人も異なります。人が違えば優先すべき「言い方」「見せ方」「置き方」と「場所」が変わってきます。
ただ人通りが多いという理由だけで、ビジネス動線となる場所にPopUpストアを出店し、高額な知育玩具を置いたとして、皆さんには行き交う人達の足が止まる場面が想像できるでしょうか?
今、それでも足を止めようとすれば、どんな訴求が必要になりますか?
必然、そこに在る人と、その人達が求め、好むものが何か?を想像する必要があります。

壁の攻略編その1では「商材を求める人」について考えてみました。
商材のコンセプトや訴求すべき対象者が見えない商材をただ売場に並べても、ほとんどの場合、消費者の目には止まらないと思われます。

次回、壁の攻略編 その2では「隣に並ぶ商材」について考えます。


 ビジネス猫対談(第1回):福島県の若手営業マン・みぃちゃん

2024年08月15日 08時00分00秒 | 猫の額で考えるマーケ
こんにちは、営業部長のカカオです。お盆やすみ、みなさんはいかがおすごしですか?
さいきんは猛暑のうえに地震、カミナリ、台風・・・コワイですね~~ぼくはおふとんにもぐってブルブルふるえています。
「カカオ部長、怖くて外出できないなら、せめてオンラインで仕事して!」
あ~また社長がわめいています。

そこでぼくは考えました。あたらしい企画を。
いろいろな会社でぼくのように苦労&活躍している猫たちとお話する企画です。
題して 【ビジネス猫対談】! 
全国のはたらく猫たちとつながって、ビジネスについて情報交換するんです。

ということで、今日はきねんすべき第1回。
福島県で活躍している若手営業マン・みぃちゃんとオンラインでつながっています。
みぃちゃん、こんにちは!

みぃ: センパイはじめまして。みぃで~す。 


カカオ: み、みぃちゃん若いな。えっと~さっそくですが、みぃちゃんの会社と仕事について教えてください。

みぃ: は~い。うちはダンボール製品の加工と販売をしてる会社っす。
株式会社 福良梱包
梱包材や緩衝材のほかに、オリジナル製品の開発にもちからを入れてます。
たとえばコレ、組み立て式のダンボールベッド。

木のつよさと紙のかるさをもつ新しい素材ニャンすよ。ラクに運べてかんたんに組み立てられるから、独りぐらしの引っこしや、災害時の避難所でも使える。寝ごこちもばっちりっすよ!

カカオ: いいですね!高さがちょうどいいし、ぼくも寝てみたいニャ~。
みぃちゃんの会社では、ほんぎょうのほかにオリジナル製品で新しい市場をかいたくしているんですね!

みぃ: そうニャんす。ほかに強化ダンボールケースと堆肥をセットしたコンポストもあります。今は新しい製品の開発中。
うちの営業部長(にんげん)がつぎつぎと新しい企画をだしてきて、チョー忙しいっすよ。

カカオ: うちの社長もムチャぶりがひどくて~ぼくも大忙しです。

みぃ: おたがい大変っすニャ~。うちの部長は「新しい製品で首都圏の市場を狙いたい!」とか言ってるンすけど、センパイ、東京で売るためのアドバイスをおねがいしま~す。

カカオ: そうだニャ~。みぃちゃんは、東京に住んだことありますか?

みぃ: いや、福島からでたことニャイっす。


カカオ: 域外で売るニャら、その地域のひとたちがどんなふうに暮らしているか、知ることからはじめましょう。

みぃ: ??

カカオ: たとえば東京は、戸建てよりマンションぐらしがあっとうてきに多くて、部屋がそんなに広くニャい。
だから、大きな家具や庭で使うものはニーズが限定されてしまう。

みぃ: センパイの家もマンションっすか?

カカオ: マンンションだし、せまいベランダしかニャいです(涙)

みぃ: きついっすニャ。

カカオ: それから移動は電車、地下鉄、バスが中心。いちばん近い駅まで10分以上かけて歩くのはあたりまえ。ぼくたちの足だと30分かかるかニャ?

みぃ: ありえニェ~。福島ではマイカーがあたりまえだし、庭つきの家が多いっす。

カカオ: 庭つき!マイカー!うらやましいニャ~
東京では荷物をもって移動するのが大変だから、家具など大きなものはネットショッピングが中心で、受けとりはマンションの宅配ボックスに「おきはい」。


みぃ: 宅配ボックスに入らニャいと、受けとれニャイっすか?

カカオ: 受け取れニャイことはニャイけど、「さいはいたつ」とかめんどうだし~
だからなるべく梱包はコンパクトにしたほうがいいですよ。
あるお菓子メーカーが、持ち帰りやすいようにパッケージに取っ手をつけたら売上アップしたという事例もあるんです。

みぃ: へ~!

カカオ: このように、地域の住宅じじょうや買いものじじょうに合った売り方を考えることが大切ニャンです。

みぃ: ニャるほど~参考にニャるっす。
こんどセンパイに新製品のサンプルを送りますね。使ってもらって意見をききたいっす。

カカオ: ぜひ!たのしみにしています。
あ~でも、ぼくはふつうのダンボール箱でじゅうぶん。箱だいすきです!

みぃ: ( ̄_, ̄ )

3秒の壁って何だ?(概略編)

2024年08月09日 20時00分00秒 | あえて誰も言わない雑記
それが、自分にとって必要か?好きか?などの判断。
人はそれを3秒以内で決める。と、そう言われています。いつから誰が言い始めたのか?は判りません。ただメディア関係者をはじめ、一部の業界関係者はこれに異を唱えません。実感としての覚えがあるからです。

【自分の日常を思い出す】
話を皆さんの日常に移しましょう。
皆さんはスマホで何某かの情報にアクセスした際、順にじっくりと全ての内容を吟味するでしょうか?
あるいは雑誌や新聞の記事はどうでしょう?
 ◀全ページは注目しない
服を見に入った店舗で、端から全商品をチェックするでしょうか?
レストランを探す時、またはメニューで注文を決める時はどうでしょう?
いずれの場合も、ざっと見渡して、必要性や好みで注目すべきものを選びますよね?
しかもその行動は特に意識的ではないと思います。
そうして最初の選択肢になったモノが「3秒の壁」を超えた情報です。
 ◀全SNS投稿には注目しない
「3秒」と言いつつ実際には、1秒程度でこれを決定している事も多いかと思います。決して最初から詳細な内容の吟味などはしません。何かを探す時のご自身の振舞いを思い出して頂ければ納得できるのではないでしょうか?

結論として、3秒判定に当選しなかったモノ(情報)は存在しない事になります。
皆さんもスっ飛ばした情報が何か?なんていちいち覚えていないでしょう?

【壁はどんどん高くなる?】
話を表題に戻します。
特に意識することなく皆さんは日々、膨大な情報の取捨選択を行っています。
2006年、総務省は報告で選択可能情報量(98.8%はネット情報)は、1996年からの10年間でおよそ530倍に増加し「情報爆発」と定義しました。この時点で、すでに個人が処理する情報量を超えつつある、との見解が各方面に散見されました。
現在、国内の情報流通量(トラフィック)は2006年の約55倍です。もし今「選択可能情報量」なる概念を情報流通量に比例すると考えれば単純計算で、17年間で29,000倍に増加したと言えます。そして当然ですが、これはこの先、世界規模でにさらに急拡大していくと想定されます。
出典:総務省(令和6年版 ICT白書)
数字の話はさておき、では一体この話題の何が問題なのでしょう?
3つあると考えます。

1)情報のほとんどは切捨てられる
2)国内のビジネスパーソンに、その意識が薄い
3)情報の発信側に回ると情報は全て届く!を前提に考える

爆発的な情報流通量の増大により取捨選択というよりは、主に情報の切捨てが行われるようになりました。情報のほとんどは「3秒の壁」を超える事なく次々に切捨てられ、その現状認識がないままに、多くの個人と組織が情報発信を続けています。
日本の会社さんはプロモーションが苦手、、昔からそんな話をよく耳にしました。時には当事者自らがそう宣言(何故か少し嬉しそうに?)します。これを裏付けるような一つのデータがあります。
各国企業におけるパーソナルデータの活用状況(出典:総務省令和5年版 ICT白書)

パーソナルデータの活用とは、つまり情報を伝える相手を知り、伝え方を考えるという事です。
日本は「ある程度」を含めても活用が53%弱と低水準です。が、問題はそこではありません。
約30%の企業が活用の意義を感じていないという事実です。他国が10%前後なのでこれは「突出」と言って良いでしょう。
自分の事は知って欲しいが、その相手には興味がない。
「プロモーション = コミュニケーション」と考えるなら、日本の企業はプロモーションが苦手と言われても仕方がないのかもしれません。
 ◀壁の向こうにいる相手は?
相手を考えず、一方的に自分を語る情報発信で、3秒の壁を超えるのは厳しいのではないでしょうか?
かつて消費者が積極的に製品情報を求め、評価したのは30年以上も昔の話です。当時は高性能、高品質、希少性など優位な点を謳えば、物やサービスは売れました。要は購買動機を提供するだけのプロモーションです。その成功体験が今も多くの人の心に残っている気がしてなりません。
市場情報(製品・サービス)は労せず手に入るようになりました。常に推奨する提案もなされます。また誰もが簡単に情報を発信できる環境を手に入れました。必然的に今も情報の選択性は拡大を続け、ますます商材は選ばれ辛く、壁は高くなり続けているのだと思います。

【今、必要な事】
現在、情報発信に成功する人は限られています。
いったい何が必要なのでしょう?
一方で、
「~すれば良い」と回答する人達がいます。
他方で、
「ECは何処に出せば良いですか?」
「SNSはどうすれば注目されますか?」
「ネット広告は何処が良い?」
「若い人に売るには?」
「富裕層に売りたい!」
そう尋ねる(最後のは宣言ですね)人達がいます。
仮に「~すれば良い」が在るなら、その方法を共有する全ての人が成果を収めるでしょう。
当然ですが、百社には百様の環境があり、その解法は個社個社によって異なります。
 ◀全ては「注目」されてから!
ただし成果を目指す入口は明確です。
それは必要とする人に「見つけてもらう!」です。
そのためには何をどう考え、どう行動すれば良いのでしょうか?

次に「壁の攻略」を考えてみたいと思います。