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エコロジカル・フットプリントは、人類が自然の恵みをどのくらい消費しているかを示す指標です。この自然の恵みとは、地球に生きる微生物から高等生物からなる多様な生態系が、食糧・木材などの生産や、廃棄物の分解・吸収をしてくれるサービスに相当するもので、石油や石炭のような再生不可能な埋蔵資源ではありません。
図1のように、人類全体のエコロジカル・フットプリントは、既に地球一個分が提供できるサービスを20%以上も超過しています。これは返済能力を超えて借金をするようなものです。例えば、浸み込むより早く地下水を汲み上げたり、資源としての再生能力を超えて魚を獲ったりすることは一時的には可能でも、あとで高いツケを払うことになります。現実に米国の穀倉地帯を支えるオガララ帯水層という地下水脈や、中国の華北平原、インドのパンジャブ地方などで地下水位の低下で食糧生産にマイナスの影響が出ており、世界の海でもマグロをはじめ水産資源の枯渇が問題になっています。サブプライムローン問題は人間の経済活動に影響を及ぼしていますが、食糧や水の不足は人間の生存そのものに関わる重大な問題です。
図2は、国や地域によるエコロジカル・フットプリントの違いを比較したものです。数値は、平均的サービスを提供してくれる土地にして、一人当たりで何ヘクタール使っているかを示しています。概して先進国が大で、特に大量生産・大量消費のライフスタイルの元祖米国は突出しています。何かというと槍玉にあがる中国やインドは、2003年値では未だ世界平均を下回っています。一部の新興富裕層に富が集中しても、国全体としては未だ貧しいのです。若し世界中の人が日本人並みに暮らすには地球が2.4個、米国人並みなら5.2個必要です。それはとうてい不可能です。
二酸化炭素排出量削減が急務とされ、化石燃料の代替としてのバイオ燃料利用や、石炭火力発電所で発生した二酸化炭素を捕集,液化して地下に埋め込む方法も試みられています。しかし、バイオ燃料は自動車を走らせる時は化石燃料の消費を減らしますが、食糧自体や食糧生産用農地を犠牲にして生産されるうえ、生産のために化石燃料のエネルギーが消費されます。地下埋め込みのための様々な工程にも化石燃料のエネルギーが必要であり、埋め込んだ二酸化炭素が安定に保たれ、自然界に影響を及ぼさないかどうかはこれからの検討課題です。再生可能な資源の消費を地球一個分の生産力の範囲内に留めるには、無益な争いを止めてお互いに分かちあう生き方を目指さねばなりません。
参考資料
図のデータはグローバル・フットプリント・ネットワークのウェブサイト(Last Updated: 11/07/2007)に基づいたものです。
エコロジカル・フットプリントの活用 地球1コ分の暮らしへ、ニッキー・チェンバース、クレイグ・シモンズ、マティース・ワケナゲル著、五頭美知訳(インターシフト 2005)
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