佐野さんは、本当に良い人だった。と、思う。
正社員になりたくて、原さんに随分頼んでいた。
原さんは、「分かったよ私が上に言ってあげる。」と、言っていた。
しかし、彼女の事を「正社員て、私が辞めるの待ってんのか?」って言ってたから、あ~良く思ってないな、と分かっていた。
だから、私はきっと上には何も言ってないと気づいていたし、佐野さんも気づいていたんじゃないかと思う。
まだ信じていた頃は、原さんには逆らえ無かった感じだった。
何でも一生懸命やっていた。
しかし、それが逆に面白く思わないのがババア。
ある日、私に「松田さん、どうなの?」みたいな電話があった。
私は聞いてよ〜って感じで、まあ悪口を言っていた。
しかし、途中で気づいた。
反応が薄いのだ。
あ~、これは探りを入れろって指示があったんだなと分かった。
そこまでする自分に、彼女はきっと嫌になったんだろう。
私に対しても後ろめたい気持ちもでるだろう。
原さんの、パートの65歳定年になる日が約2ヶ月後となる頃、朝出勤した駐車場で佐野さんは私を待っていて、「私、他で正社員で就職するからここ辞めるね」と言った。
「マジで?しかも2週間後って。
急すぎない?」
「でも、新しい職場の方が大事だからもう、ここの事はどうでもいい」
と、言った
、、、まあ、確かにね。
相変わらず、重役出勤の松田さん。
まだいない。これは幸いだ。
私は、その朝自分の意思で行動した。
彼女の仕事をやりたいと思ったのは、松田さんから仕事の関係を少し離れたかったからだ。
ただそれだけ。
部長に、話があるんですがと声をかけて会議室に入った。
原さんは、怪訝な顔をしていた。
そこから、思わぬ方向へ変わっていくとは、、、