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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

トランジスタ増幅回路

2010-12-13 20:35:47 | 電子回路
(図はエミッタ接地増幅回路です)

Ic=hFE×Ib (hFEを直流電流増幅率といい、トランジスタの特性のひとつです)
Ie=Ib+Ic 
Ic=Ie-Ib

トランジスタがこのように動作しているとき、Vbe(ベース、エミッタ間電圧)は約0.6~0.7Vです(理屈上ダイオードの順方向電圧と同じ)。ここでは0.7Vとしましょう。するとIb=(V1-0.7)/R1

hFE=100とすると(2SC1815でこれくらいです)
Ic=100(V1-0.7)/R1
Ie=(V1-0.7)/R1+100(V1-0.7)/R1 =101(V1-0.7)/R1
よってIc≒Ie Ib≒0

さてもっとも注目すべき点は、Icが定電流であることです。それ故R2の影響を受けません(IeR1+IcR2 <V2-0.2Vの範囲にて)。よってR2の値が変われば、出力Voがリニア(直線的)に変化します。通常Vo=V2 /2辺りになるように調整します。というのはV2 /2をニュートラル電圧として、V2の電圧範囲をVoがもっとも大きく変化できる(フルスイングできる)からです。このニュートラル電圧を一般に「動作点」といいます。<br>

ここでV1が+α増加したとします。するとIeの増加分は ⊿Ie=α/R1 です。出力電圧Voの変化分をβとすると、Ic=Ieとして β=(α/R1)×R2 =αR2/R1 。よって
β/α=R2/R1 となって、図のトランジスタ増幅回路のゲイン(増幅倍率)は、おおむねR2/R1であることが分かります。

【直流設計】
では具体的に数値(定数)を入れて、直流設計をしてみましょう。
V2=20V
動作点:Vo=V2 /2 =10V 、Ic=1mA と決めて、
ゲイン:×10の増幅回路を設計します。

① Vo=10V、Ic=1mAから、最初にR2が決まります。
R2に流れる電流が1mAであり、端子電圧が10VになるようなR2は
10/1m=10kΩ です。

② ゲイン:×10にするためには、R2/R1=10 だから
R1=R2/10 =10k/10 =1kΩ です。

③ R1にはIe=1mAが流れるので
V1=1k×1m+0.7 =1.7V

となって、これですべての定数が決まりました。(中段の図参照)
この状態で交流信号を入力した場合の波形を下図に示します。

関連記事:トランジスタの端子接地 2009-12-16
コメント (10)
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