アラーキーを初めて知ったのは15~16歳ぐらいの時かしら?伝説の月刊漫画誌「ガロ」に毎号、8ページほどの写真と文章が連載されていたのよ。その写真といったら白黒で紙質も悪かったが、今で言う「ヘア」(アタシのバヤイは「バーケー」)がバッチリ写っていて、中には「具」までうっすらと写っている写真などもあり衝撃的でした。今では「ヘア」なんぞ当たり前で、売れなくなったり薹が立ったタレントなどが挙って見せているが1980年代の前半では日本はバーケーは御法度だったのよ。
思春期だったアタシは何てスケベなカメラマンだと思い、その名前を胸に刻みつけたのよ。
アラーキーはスケベな写真ばかり撮るカメラマンだと思いきや、ワリと社会的?な写真を撮るのを知ったのはアタシが働きだしてからだった。紆余曲折があり、たまたま入った会社にアラーキーの「元弟子」だった人がいたの。飲みに行くとその人からアラーキーの話を色々聞きました。
何とアラーキーはアタシの近所の三ノ輪の生まれで、これまた近所の東日暮里の子供達を撮った「さっちん」で第1回太陽賞受賞をしていたのよ!1964年、アタシの生まれた年だ。
あの時代(ってもアタシは生まれたばかりだが、下町なんぞ、そう変わり映えはしない。)の子供達の生き生きした表情、躍動感。
子供達の目線に立ち、向き合い、時には一緒に走って真剣勝負で子供達が見せる一瞬の表情を逃さずにシャッターを切ったんだろうな、アラーキーは。
ニンテンドーDSもプレイステーションも無かった時代のクソガキ共、どいつもこいつもイイ顔してやがる。アタシも昔はこんなクソガキだったんだろな。しかし、どの子供の顔も懐かしくて泣けてくるよ。この本を覗いていると子供達の路地裏を駆ける音、笑い声、泣き叫ぶ声が聞こえてくるようだよ。
ああ、この時代に戻れるのなら戻りたい…。
アタシは振り子の原理ってヤツを信じてる。
このバヤイはドスケベな写真ばかり撮るカメラマンはその反動で芸術的な写真も撮る。
ただそれを照れ隠ししているのだろうなアラーキーは。
果たしてドスケベなスノードーム売りは……?
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