最近、私のテーマカラーは、黄色と紫になっている。 . . . 本文を読む
私が恋した、宇治の姫君たち。
あると見えながら手にとることも出来ないまま、皆どこかへ消えてしまった。
まるで陽炎のようにはかなく。
(薫が、大君、中の君、浮舟を思って詠んだ歌)
蜻蛉 (薫27歳春から秋)
浮舟が行方不明になり、後に残された女房たちは入水自殺を計ったと悟って嘆き悲しみながらも、真相を隠すために急遽葬儀を行 . . . 本文を読む
あなたの愛が、まるで橘の緑色のように変わらないとしても、
私の運命はこの頼りない小舟のようなもの。
どこに行くのかもわからない、哀しい小舟。
(変わらぬ愛を誓う匂宮に対して、浮舟が詠んだ歌)
浮舟 (薫27歳春)
浮舟への執心やまぬ匂宮は、中の君への手紙から彼女の居所を察し、
薫のさまを装って宇治に赴き、強引に浮舟との関係を結んで . . . 本文を読む
雨に濡れながらずいぶん待たされていることよ。
さてはあなたの家の戸をつる草がふさいでいるのかな。
(浮舟のもとを初めて訪れた薫が詠んだ歌)
東屋 (薫26歳秋)
浮舟は母の再婚により田舎受領の継娘として育てられ、父親の財力のために求婚者は多い。
しかし母親は高貴の男性との婚姻を望んで、彼女を中の君のもとに預ける。
母の意中は薫にあったが、ある夜、 . . . 本文を読む
宇治の邸は亡き大君との思い出が宿る場所。
そんな思い出がなかったなら、ここに泊まるのはどれほどさびしかっただろう。
(宇治の邸を訪れた薫が詠んだ歌)
宿木 (薫24歳春-26歳4月)
匂宮と六の君(夕霧の娘)が結婚し、懐妊中の中の君は行末を不安に思う。
それを慰めるうちに彼女に恋情を抱きはじめた薫に中の君は当惑するが、無事男子を出産して安定した地位 . . . 本文を読む
初わらびを見れば、亡きお父様を思い出すわ。
でもこの春は誰にこのわらびを見せてあげればいいのかしら。
お姉さますらもういないんですもの。
(宇治山のあじゃりから山菜を贈られて、中の君の詠んだ歌)
早蕨 (薫25歳春)
翌年、大君の喪があけて中の君は匂宮のもとに引取られる。
薫は後見として彼女のた . . . 本文を読む
いつまでもいつまでも一緒にいたいよ、組糸で作る飾りの「あげまき」に願いをこめて。
(薫が大君に贈った歌。大君は「私の命も、もろいものですのに」 と拒否する。)
総角 (薫24歳8月から年末)
薫はふたたび大君に語らうが想いはとげられず、むしろ大君は中の君と薫の結婚を望む。
秋のおわり、大君がはかって中の . . . 本文を読む
仏の道の師と、あなたをたよりに思っていましたのに、お亡くなりになってしまったことです。
(薫が、八の宮の市に寄せて詠んだ歌)
椎本 (薫23歳2月-24歳夏)
春、匂宮は宇治に立寄り、中の君と歌の贈答をする。
秋、八の宮が薨去。二人の姫君たちは薫に托された。
薫は中の君と匂宮を結婚させんことをはかり、自らはを大君に想 . . . 本文を読む