数日の溶接の練習から、今日はやっと扉を組み立てに入れる。
練習だけで時給1,000円以上を貰うのは気が引けたし、そもそも全部練習だとつまらない。
扉の設計図を元に組み立てていくようだ。
設計図の横には必要な鉄の材料が書いてあった。
この設計図は事務所にいた設計専門の社員の人が作ったようだった。
まずやることは、その設計図に扉を作るのに必要な材料が書いてあるので、それらの材料を工場の中でそれぞれの部品を作っている人たちからもらってくることから始まった。
どこにあるのかわからない部品は、込み入ってなさそうな扉制作中の人に聞いてなんとか集めた。
カジキ 「部品は全部集まった?」
坂本 「はい!集まりました!」
カジキ 「じゃあ、教えてやっから。」
・・・
一通り扉の作り方を教えてもらって「自分にもできるな」と思った。
意外と僕は物を作るのが好きかもしれない。
子供の頃はプラモデルとかはあまり作らなかったが、手先が器用かもしれない。
そして感受性が高いのかもしれない。
すでにカジキさんのこと、あまり好きじゃないかもしれない。
鈍感になりたかった。
鈍感な人は何も感じないんだろうな。
小さな事を感じて一つのことをずっと思ってしまったりしないんだろうな。
鈍感な人は楽に生きられていいな、と思った。