誇大妄想と矮小妄想

　僕なんかは戦後の恵まれた時代に育ったので、典型的な誇大妄想世代な訳（自分が世界の中心だと思っている）だが、最近は矮小な妄想をする世代が表れたようだ。つまり、国をバックに強気な発言をする人たち。自分１人はちっぽけな存在であることを認めていても、国家民族と言う単位で傲慢になれる人たち。誇大妄想は個人に閉じているし連帯もしないので可愛げがあるが、矮小な妄想は現実主義的で連帯もできる分、始末が悪い。
　今日の殺人事件などを見てもこの矮小な妄想と言う傾向は見て取れる。国家民族は背景ではないが、「誰でも良かった」的な犯罪には、自分より弱い者に対する傲慢さに依拠した理由を求めているように思える。犯罪者は無自覚に優越感を持てる相手をターゲットにする。
　つまり、孤立した存在であることを散々思い知らせた上での傲慢さ（一方で私たちは完全に独立した存在としての傲慢さを持つ）。そういう意味で日本は実は新しい階級社会に入ったように見える。