OPPENHEIMER / Christopher Nolan監督@盛岡ルミエール
2024-04-13 17:55:11
そんな不快感は大したことではない。映画を観る前からある程度覚悟していたが、やはり内容が不愉快な映画であった。別に日本人だからじゃない、広島、長崎は日本に対する罪というより、全世界に対する罪だから。
主人公はいちおうJ・ロバート・オッペンハイマーと言うことになるが、「世界の破壊者」は彼1人ではなく、登場人物の全員だし、さらに言えば、アメリカ国民も、世界大戦の引金を引いたナチスも、いや、ヨーロッパ市民も、最終的には真珠湾攻撃をした日本国民すらも破壊者と無関係ではいられない(もちろん僕自身もだ)。
ロスアラモスでの確実現成功の時の喜びよう、戦後、罪悪感から核軍縮を唱えたオッペンハイマーへの断罪、気持ち悪いったら仕方ない。まあ、大河ドラマでの戦のシーンに歓喜する人も多いので、どっちもどっちだが。
私たちインターネット世代が、ネットによって全ての人々が対話して理解しあえる世界が来ると信じた気持ちは、分断によって見事に裏切られたように、核兵器によって全ての国が恐怖を思い知り、戦争がなくなると言う理想も木っ端微塵に砕かれた。
そうした教訓を得ることができたにせよ、どうにも扇情的、ヒステリックで、話の整理がついていない(何度も劇場に足を運べば分かるのか?)ストーリーに、その教訓をどう活かすべきかも提示されず、ただただ不快感しかない映画だった。それでも観ておいてよかったことは間違いないのだが。
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