雑木囃子

冬をむかえる

第一にしにかけながらキャンプ場に揚げた薪割り機を修理する。
油圧と言うのはとても興味深く、奥が深い。
バルブからのオイル漏れとたぶん不調なので交換。
油圧という力は、私が得てはいけないモノだったかもしれない。
また一円にもならないものごとに出費することになり、修理する物が増え、勉強しなければならない。
直った。
アメリカ製の部品だ。チェンソー師匠の自作機械にもついていたものと同じっぽいのでなんとなく安心。
しっかりした鋳物でずっしりとした部品だ。黒々して格好も良い。
こういうのに男は弱い。
この木の棒は、レバーの補助だ。丸太に座って作業したいので手近でコントロールできるようにした。
黒い鋳物に対して、なんだかしょぼい。

クイスギマスパーティー用の景品も製作。
桜・桐・栗のカッティングボードだ。
まな板と言うには洋風な仕上げなのでカッティングボードって呼ぶことに。
まな板には好みがある。私は桜や栗のカッツリした感じが好き。
カンツカカンツカ包丁でたたく。
包丁に優しい素材ではないとされるが、そんなことかまいやしない。
桐のものはふわふわしていてやる気が出ない。
オイル仕上げは今回は廉価版仕上げで、オリーブオイルを熱したものを使う。
板へのしみこみがいいし、オイルが安い。
ま、景品なんで。

燻製。
すばらしい燻製を作っている。
お歳暮、販売、自家消費。
国産生のブタバラを入手し、それをああしてこうして燻製にする。
納得するまでやるので、もしも失敗したらチキンも併せて24キロ分の肉が自家消費分になってしまう。
お買い求めください。
まさか表示できないが、1年は保存できる。
キムチも燻製も、本格的とかには興味ない。本物でなければならん。
本格的ですね!とかは誉め言葉ではない。=本物じゃないですよね!と言っているのと同じだ。
まーったく、私のようなへそ曲がりをほめるのは大変だ。
ほとんどの人は、どう褒めたらよろこぶかわからないらしく、ほめない、と言う選択をする。
ま、自分だけはわかっているからいいや。

燻製と言うのはどこでも売ってるネロッとしたベーコンのことではない。
塩分・乾燥・燻し、そのバランスで日持ちのするものを作り、少しずつ大切に味わう。
私の場合は、企業秘密だからだから言えないけど、塩漬けにはしないし、粉のようなチップも使わない。
下の店で購入できます。
1回に30キロ近くを燻製するので、もう何百キロも手製で行っている。
市販燻製の材料表示を見てみてほしい。肉・塩・スパイスだけで作れるはずが、なんだか知らない素材ももりもり入っている。
私のものは、肉・塩・胡椒、これだけ。まじりっけなしの本物。
料理をすると強い味と香りはいつまでも台所に漂う。

丸太を刻むことにする。
あーあ、始めちゃった。みたいなかんじだ。
で、完成。
私の彫りものの良いところは、多少カケてもわからないところだ。
木で木(ツリー)を彫るなら、最初から小さな木を切ってすげればいいんじゃねえか。
気付いても始めたら最後まで彫る。
師匠が手を入れたものは最後まで彫らずに終えることもある。
師匠の大切な一刀を私が壊すことになるのがイヤなのだが、それじゃいつまでも完成しないのでちょっとこまる。

タイヤ交換のパーティーだ。
大きな車は工場でやってもらう。
小さな車は自分でやる。何台も交換することになる。
これを始めると冬なんだ。
冬の次に雪が来る。雪を迎える準備だからね。
雪が冬を連れてくる地域とは少し違っている感じする。

ジムでがんばる。
学校の仕事で、体育系の専門学校のことやってる。
先生はベンチプレスで170キロを挙げるアスリートだ。
その先生の言うことだけを聞いてやっている。
私が先生の技術を証明することにもなるので、教わったとおりにやる。
教わった通りにやっていれば成果が出る。
成果が出なければ先生のせいだ。
私が成果を出すことは、3人くらいの男が自分を賭けていることになる。
なので、自己流ではやっちゃいけない。
自分の知らない世界を見ようとしているなら、わからなければ聞く、言われたとおりにやる、間違えは言い訳せずに正す。
リーダーの基本でもある。
リーダーにそう言っている以上、自分もやれなきゃおかしい。

でも本当はいつでもやめたい。
つらいんだ。つらくても3人の男のプライドが私にかかっているからやる。
一部のリーダーは、私のプライドがかかっていることなんてお構いなしにブッチギリなので、どうか私のこの態度を見習ってほしい。
人の言うこと聞いてやってきたから今の私がある。

ベンチの脇にある木の箱みたいなものは、先生のアドバイスによって自作した踏み台だ。
これがあることで、トレーニングの正しさが上がった。
安全に確かにするためにしっかり治具を用意するのもキャンプと同じだ。
ヘマなやつは、すぐにオリジナリティーを出そうとする。
言われたこと、すっかりマネすること、聞いたことなんてそっちのけで、オリジナルとか臨機応変とか言う。
オリジナルとはベーシックがあるからできることであり
臨機応変とは綿密な計画をする過程で思い考えたことも経験とし、万が一の時にその経験(思い考えたいろいろな場面)を活かして行動することである。

さて、ではベーシックとは何か。
一からやる。それだけ。
それなくして始めた物事は必ず伸び悩む。
例えば、ギターを上達しようとする。握り方や抱え方を知らぬままテキトーにやってなんとなくコード弾きができてやれた気になっても、そいつはそこまでだ。(俺がそうだ。)

本格的と本物の違いもそのあたりにある。
一からやらずに、やって気になって、みてくれ良い。それは本格。
一からやって、むつかしさに喘ぎ、無様でももがいて納得する。それが本物。

あ、俺?
ギターはにせもの。
チェンソーは本格。
燻製とキャンプは本物。

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