織物にしても、編物にしても、その仕上がりに大きく影響するのは、「糸」です。
昭和の頃に、手編みなどでセーターやワンピースを編むと、毛糸の使用量に応じて作品が重くなり、せっかく作ったのにその重さで形が崩れてしまったり、着心地が良くないということもありました。
でも今、私たちは糸が大きく改良されて、何十倍もの楽しさをもって、私たちに提供されていることを知っています。
織物の世界で言えば、高い技法を用いた模様がより高い評価を受けるのは、当然なことです。
しかし、機織り機を広げて、多くの時間をかけて織りあげるのは、多くの人が楽しめる織りの世界ではありません。
長い年数をかけて、技術を高める時間はないけど、織物を楽しみたい方は置き去りにするのかと言いますと、決してそうではありません。
そこには、開発され、世界の糸にまで評価を高くしている糸の存在があります。
基本の織りの技術があれば、平織りでも、素敵な作品が出来上がります。
そこに、糸の魔術があり、織り進めるだけで1本の糸の中に込められた、色の変化が模様を表現していきます。
夢のような糸を開発して私たちに提供している方は、「佐藤正樹さん」です。
先日、NHKの『逆転人生 一流ブランドが大注目の糸を開発』を放映しました。
今日は、この番組の録画を見ながら、心から湧く感動を覚えました。
この中に、私が最近の糸の変化に持っていた疑問に対する答えがありました。
「こんな糸を開発した人は誰?」
「こんな糸がどのようにしたらできるの?」
驚きの糸を開発したのは『紡績・ニットメーカー4代目 佐藤正樹さん』。
いつも疑問に思っていたこと、
「どうしたら、いろんな色でグラデーションしながら1本の糸に紡いでいけるの・・・」
高い織りの技術を身につけている訳ではない私にとって、
「真にこれらの糸は救世主です」
糸の特性を生かしてマフラーを作るとき、例え模様織りではなく、平織りで仕上げていても、私は値段を付けて売ります。
「シンプルな平織りだけでも、この糸の魅力で仕上がったものだから満足していただけるはず・・」
グラデーションの糸を織り機に掛けると、仕上がりが気になって、夢中で織ってしまいます。
織り機から外さないと、どのような模様になったのか全体の雰囲気を見ることが出来ないからです。
思いがけない模様に驚き、嬉しさで次の糸を織り機に掛けてしまいます。
大変な苦労を伴った糸の開発の様子を見ました。
「途中であきらめないで、素敵な糸を私たちに届けていただきましてありがとうございます」
「南アフリカで、羊を大切に飼育して、優れた材料を提供してくださる生産者の皆様に感謝します」
大切に飼育されている羊たちも、なんだか幸せそうな表情です。
私は、このように努力の賜物で出来てくる糸を、豊富に使える幸せを甘受しています。
感謝します。
世界のファッションの土台を担っていると話されるイタリアの糸の工場長を尊敬します。
我が国の誇りべき糸の開発者に感謝します。
私の作品にも面白い糸を使ったマフラーがあります。
① ②
①1本の糸に細い所と太いところがあり、面白いのですがたて糸ではソウコウが動きませんので、たて糸は並太の正規の糸を使い、よこ糸に使いました。不規則な表面模様で楽しく、肌触りも心地よい出来上がりです。
②グラデーションの糸をたて糸・よこ糸共に使いました。
今日の感動は、益々、私を糸の世界に引き込みそうです。
買った糸を、最初に手にした時の幸せ感が、佐藤正樹さんの努力によって何倍にも大きくなりました。
真摯な心で開発された事が何よりも嬉しく思えます。
私のおもしろ手帖 21/5/25 花日記 ⑤バイカウツギ
真っ白で薄い花びらの雰囲気です。
他所のお宅の植木なのですが、あまりにきれいなので、背伸びしたり、かがんだりしてパチりしました。