香椎補完計画 壱

映画とお酒の渦に巻き込まれていたいと日々葛藤しています

207.茨木のり子

2022-01-01 17:26:28 | 日記



ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やらを怠っておいて



気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのは
どちらなのか



苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのは
わたくし



初心消えかかるのを暮しの
せいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄


自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ


茨木のり子
「自分の感受性くらい」


最後の三行に心を奪われました。
新年明けましておめでとうございます。


201. Ahead

2020-05-30 17:03:00 | 日記



この先、だれも予測が出来ない現実がやって来ました



誰もが、自分は大丈夫だと思っていた結果
広がってしまったのは否めないのではないかと思います



そんな時、好きな作家の方がこんな文を書いていました



* * *  学校にも行けず、友達にも会えず、ひとりで部屋に閉じこもって寂しい思いをしているかもしれない。だけど、あなたを取り巻く世界は友達や学校だけだろうか。

 世界は見方によって、「対人の世界」と「対物の世界」に大きく分かれています。「ひとりで寂しい」というのは、「対人の世界」の話のことです。

 たとえば「将来の夢はユーチューバー」という子が増えているといいます。否定はしませんが、これは子供たちがいかに「対人の世界」だけで生きているかの表れだと思う。人からどう見られるか、人とどうつきあうか。こういう関心だけで世界が成り立っているのはもったいない。

 ぼくは小さい頃から、虫が好きでした。「対物の世界」です。きっと君たちの中にも、きのこに興味があったり魚釣りが好きだったり、花の名前を覚えるのが得意だったり、そういう子たちもたくさんいるんじゃないかと思う。

 実は今回のコロナ禍で、困っているのはみな、「対人の世界」の住人です。レストランにゲームセンター、カラオケに居酒屋。こうした“対人”サービスが苦境に陥っています。

 くらべて、「対物の世界」、農家さんや漁師さんの生活はそれほど大きく変わっていないように思えます。

このところ、世界中でグローバリズムの必要性が盛んに唱えられてきました。日本もその中にあります。でも今回のコロナのパンデミックは、グローバル化による人の移動も原因です。これまで推奨されてきたグローバリズムは縮小し、代わりにナショナリズムが台頭するかもしれない。いずれにせよ、この後の世界をどうするのか、考えなければなりません。

 しかし一口に「考える」といっても難しい。実際、教え子の大学生を見ていても、過剰なサービスや過干渉な親に慣れているせいか、自分で考えて動ける力を持っている人は少ない。

「考える」とは成熟することです。自分で考えられない大人を、成熟したとはいいません。考える力を磨く簡単な方法は、外に出ることです。

 コロナだから外に出たらだめだって? そんなことはありません。それこそ、どうやったら安全か。三密じゃない場所はどこか。帽子は、水筒は、着替えは…と想定して準備すればいい。それが「考える」ということです。

「なぜ外に出てはいけないのか」と問い直すことも、「考える」ことかもしれません。

 考えながら外に出れば、まず体が反応するはずです。そもそも、ぼくらは「意識」を信頼しすぎているんです。自分の意識が体を動かしている、と思っているかもしれませんが、そんなことはありません。人間の場合、意識は本来、外の世界に対応するためにあるものです。

 自分の体は自然の一部なんですね。たとえば朝起きる。自分の意識が目覚めさせていますか? そうではなく、体が起きるから意識が戻るのです。眠るのもそう。意識して眠ることはできません。私たちは体という自然に従って生きているにすぎない。

 言い方を変えれば、人間は、自分の体すら意識でコントロールできない、ということです。それなのに、すべてをコントロールできると自惚れているから、地球温暖化や公害問題も起きてくる。今回のコロナは、人間には自然をコントロールすることはできない、という教訓でもある。思い通りにいかないことがあったとき、人間は「努力・辛抱・根性」の方法を学びます。

 もし私たちがそのことを学ばなかったら、コロナはただの災害になってしまう。おかしな言い回しだが、ぼくは「コロナがあってよかったね」と思えるような社会になることを望んでいます。



 ぼく自身も、毎日、朝から虫を見て「対物の世界」に生きています。すごく平和ですよ。野山に虫を捕りに行っても誰にも会いません。田舎の山の中なので、出歩いていても、自粛自警団に叱責されることもありません。

 つまり、コロナに影響を受けない世界がある、ということも、君たちには知ってほしい。世界は1つだけではないのです。


養老 孟司


目の前にある小さな幸せを大切に、大切に










200.やきとり桐島

2020-02-18 20:56:00 | 日記








縁有って古賀市民になりました
言いたい事は色々あっても、一度「はい」と言ったならやるだけやろうと思う性格です


で、古賀開拓



順調に酔っ払っています



TVがデカ過ぎて涙腺が…



良きお店に出会えたと暗示をかけています






199.道化師

2019-11-16 13:42:00 | 日記









何故ジョーカーが生まれたかを丁寧に描いた作品


バットマンに続く伏線も有り
なんだかんだでパート2も作るんだろうなと



もしかしたら、全て夢の中での空想だったと云うオチもアリだなと思いました



「この人生以上の硬貨な死を望む」


☆☆☆







191.The Godfather

2019-10-14 19:06:00 | 日記










47歳の誕生日、1人映画館に行く
(怖っ)



奇しくも1972年公開の作品
レンタルでは何度も観ていたが、まさか劇場で観る事が出来るとは思いませんでした



上映ギリギリに到着し、逸る気持ちを抑えつつチケットを購入しようとすると、キッチリスーツ、パナマ帽子の男性が悠然と買っている
(早く!早く!)



息を切らしながら着席
5席程先にはパナマ帽
(被ったまま観るんかぃ!)





深夜に撮っているにも関わらず、昼間にしか見えない結婚式シーンから始まります
ドン・コルレオーネが如何にしてドンと言われるのか、このパートを見るだけで理解出来ます

堅気で生きて行く筈だった主人公マイケルが、逃れられない柵の中でマフィアになって行く過程が淡々と描かれています


若い頃は長男ソニー、シビれるぜ!
などと思っていましたが、この歳になって観ると、まぁそうなるよね…と



印象的なシーンは有りすぎるのですが、マイケルのレストランシーン、ケイトとのデート後の新聞シーンは秀逸過ぎて教科書に載っても良いのではと思います



いや、初めての花嫁アポロニア・馬の○○が…・裏切りに次ぐ裏切り・粛正・先ず観て欲しい作品の一本です



マーロンブランドのラストを見ながら、アドリブと決められた演技の境界ってなんだろう、俯瞰で観続けたいのに、中洲太陽の座席の悪さよ!
腰痛持ちにはお勧め出来ない劇場です



トドメにパナマ帽は1時間程で帽子を脱ぐ始末
(いやいや、脱ぐなら最初からでしょ?)



己なりの解釈で、いくらでも酒が飲める作品を劇場で観る
幸せな誕生日でした



☆☆☆☆☆