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本と音楽とねこと

操られる民主主義

ジェイミー・バートレット(秋山勝訳),2018,操られる民主主義──デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか,草思社.(文庫版有)(6.27.2021)

 SNSや検索サイトが収集するビッグデータやボットによる世論や投票行動の誘導、操作、「フィルターバブル」による世論の分断と人びとの「部族化」。そして、巨大企業のプラットフォームビジネスによる市場の独占は、AIの発展とともに、貧富の格差の拡大、中間層の解体を加速する。
 デジタル・テクノロジーの発展とともに、民主主義がとめどなく後退したディストピアが眼前に迫ってきているなか、あらためてメディアリテラシー教育の必要を痛感する。

いつのまにか「私の考え」が誘導されていた?
トランプを大統領にしたのは「データ」の力だった?
民主主義社会の基盤がいま崩れはじめている!
デジタル・テクノロジーが、国境や民族を超えてつながる自由で民主的な世界を産み出している――
だがその一方で、誰にも予想できなかった事態が起こりはじめている。
SNSやビッグデータ、AIなどの進化は、高速で精緻な情報交換を可能にし、社会システムの基層を大きく変化させている。その変化が「人間」そのものを変えつつあるのだ。
ネットは人びとの抑えられてきた感情を増幅させ、共有される匿名の怒りが世界を「部族社会」に細分化し、データ分析に頼りすぎる判断は選挙や政策決定にも影響を与えはじめた。
プラットフォームを押さえた一部企業が市場を独占し、AIが生みだす新たな労働環境は所得の格差を拡大して、
社会の分断はいよいよ広がっていく――。
テクノロジーが拓く新たな社会状況が直面せざるをえない難問の数々を、データ・テクノロジーの専門家が詳細に分析し処方箋を示す。
トランプ大統領選を陰で支えた「ケンブリッジ・アナリティカ」社のスタッフ等、各方面の現場当事者の肉声を収載。
本書内容より
・アンケート回答がビッグデータに吸い込まれていく
・自分が知っている以上に自分のことが知られている
・トランプの大統領選とケンブリッジ・アナリティカ
・イギリスのEU離脱、プーチンのサイバー戦の正体
・ネットは人びとの抑えられた感情を増幅していく
・怒りの共有が細分化された「部族」を生みだす
・プラットフォームを持つ企業が市場を独占する
・AIは仕事の格差を産み、社会の分断が加速する
・仮想通貨とブロックチェーンが揺るがす社会基盤
◎本書もくじより
イントロダクション テクノロジーが社会を破壊する?
第1章 新しき監視社会――データの力は自由意志をどのように操作しているのか
第2章 「部族」化する世界――つながればつながるほど、分断されていく
第3章 ビッグデータと大統領選――デジタル分析が政治のありかたを揺るがす
第4章 加速する断絶社会――AIによって社会はどうなるのか
第5章 独占される世界――ハイテク巨大企業が世界をわがものとする
第6章 暗号が自由を守る?――国家を否定する自由主義者たち
結論 ユートピアか、ディストピアか
エピローグ 民主主義を救う20のアイデア

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