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受援力──“介護が日常時代”のいますべてのケアラーに届けたい本当に必要なもの

町亞聖,2024,受援力──“介護が日常時代”のいますべてのケアラーに届けたい本当に必要なもの,法研.(11.28.24)

本書を一言で表せば“読むピアサポート”です。

受援力(じゅえんりょく)とは、困ったときに誰かに助けを求めることができる力のこと。介護に直面したときに大切なのは、この「受援力」を発揮することです。

ある日突然、介護に直面すると、生活が一変してしまい、どうしていいかわからない状況に追い込まれ、精神的に追い詰められてしまう人も少なくありません。

介護はプロの力を借りることができますし、利用できるサービスもいろいろあります。すべてを自分で抱え込む必要はないのですが、「人に助けてもらう力」が弱いと、自分で何とかしようとしてしまいます。一時的なことなら、それでもいいかもしれませんが、介護は終わりが見えません。潰れてしまうことなく、「仕事や学業や家事」と「介護」を両立させながら乗り切っていくためには、周りにある資源を有効に活用し、頼っていくことが必要なのです。

本書は元日本テレビのアナウンサーであり、 “元祖ヤングケアラー”とも呼ばれる著者・町亞聖さんが、介護に追い詰められてしまわないために、すべてのケアラーに伝えたいことを詰め込んだ渾身の書き下ろしです。

自身の介護経験を述べつつ、大変な状況に置かれているケアラーを慮りながら、「突然直面する介護への心構え」や「介護と仕事・学業との両立」など様々な切り口から介護生活を乗り切るためのヒントを熱く語ります。

著者自身が大変な介護を乗り越えたからこそ発せられる言葉には、抜群の説得力があり、心に響きます。すべてのケアラーの心にしっかりと寄り添ってくれるに違いない1冊です。

【本書「はじめに」より一部抜粋】
今から30年以上前にヤングケアラーの当事者の一人になった私も、弱音を吐くことや誰かを頼ることが今も苦手です。18歳の時から親を頼ることのできない環境に身を置いていたことが影響していると思います。私自身もまだまだ<受援力>が足りていないと痛感していますが、だからこそ「もしもあの時に助けてと言えたなら……」と過去の自分を振り返りながらこの本を書き進めていきたいと思います。自分の人生も大切にしながら介護を続けるためにはどうしたら良いのか? その鍵を握るのが<受援力>だと確信しています。この本が現在進行形で介護をしているみなさんが「助けて」と声を上げるきっかけになればと思いますし、ヤングケアラーだけではなく全てのケアラーのみなさんの今と未来を照らす小さな灯りになれば幸いです。

 町さんは、ご自身のヤングケアラー体験を振り返り、「助けてと言える力」の大切さを訴える。

 学生時代の町さんと同じような境遇にある若者には、強く響くメッセージであろう。

目次
第1章 分かっていても突然やってくる家族の病気や介護―絶望・不安
第2章 障害を負った母の“ありのまま”を受け入れるということ…―喪失・受容
第3章 出来ないことではなく出来ることを数える発想の転換―発見・気付き
第4章 「ようやく見つけてもらえた…」ヤングケアラーになった私達―葛藤・選択
第5章 今でも大学を卒業できない夢を見る私…学業と介護の両立―獲得・自信
第6章 介護と仕事の両立の鍵は“柔軟な働き方”ができること―夢・希望
第7章 いきなり突き付けられた末期がんの宣告、余命半年の母…―覚悟・決断
最終章 「喪失」に耐えられるか?これから介護は男性の問題に…―祈り・再会


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