イギリスの地方都市の、主に貧困層や移民の子どもをケアする保育所での、想像の斜め上をいく驚きの経験の数々に圧倒される。すさまじいというほかない子どもやその親の人物造形表現の妙と、思わず笑わずにはいられないユーモアあふれる記述に感心した。
オーウェン・ジョーンズはイギリス労働党政権(ニューレイバー)を、保守党政権以上にこきおろしているが、本書を読むと、最低生活保障も子どもの保育の質保障についても、労働党政権が「まだマシ」だったことがわかる。
地べたを這うような観察と、生々しい、また生き生きとした叙述には、誰しも魅了さるにちがいない。
目次
はじめに──保育士とポリティクス
I 緊縮託児所時代 2015-2016
リッチとプアの分離保育
パラレルワールド・ブルース
【コラム】子どもたちを取り巻く世界1 貧困ポルノ
オリバー・ツイストと市松人形
緊縮に唾をかけろ
貧者分断のエレジー
【コラム】子どもたちを取り巻く世界2 RISE──出世・アンガー・蜂起
リトル・モンスターと地上の星々
ふぞろいのカボチャたち
クールでドープな社会変革
ギャングスタラップ児とムスリム・プリンセス
天使を憐れむ歌
コスプレと戦争と平和
託児所から見たブレグジット
【コラム】子どもたちを取り巻く世界3 フットボールとソリダリティ
ターキッシュ・ホリデイ(トルコの休日)
フードバンクの勃興とわれわれの衰退
ザ・フィナーレ 笑い勝つその日のために
中書き
II 底辺託児所時代 2008-2010
あのブランコを押すのはあなた
フューリーより赤く
その先にあるもの。
ゴム手袋のヨハネ
小説家と底辺託児所
神の御使い
母獣。そして消えて行く子供たち
故国への提言──UK里親制度って、結構ボロックスだよ。
白髪のアリス
炊事場のスーザン・ボイル
ロザリオ
たどり着いたらいつもどしゃ降り
愛のモチーフ
マイ・リトル・レイシスト
ブライトン・ロック──ミテキシーとベッキーと、時々、ミッキー
もう一人のデビー
人種と平等のもやもや──インクルージョン
ある追悼
おわりに──地べたとポリティクス
地べたのポリティクスとは生きることであり、暮らすことだ―在英20年余の保育士ライターが放つ、渾身の一冊。
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