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Oxford University PressのVery Short Introductionsシリーズは、世界中で大人気である。攻めてるなOxford。なんせ、あらゆる学問分野を網羅し、7.9~8.9ユーロで買える、至極手ごろな入門書の膨大なコレクションであり、Cambridgeと並ぶOxfordのブランド力も効いているのだろう。おそらく、教育・研究費補助金が削減され、このようなおおがかりな出版プロジェクトに頼らざるをえない、Broken Britainの厳しい現実があるのだろう。
さて、本書は、イギリス社会福祉学の研究成果を総括するかのような野心的な内容であり、世界各国における社会福祉学の動向にも目くばせがなされている。平易に書こうという努力のあとはみられるものの、延々と続くパラグラフやら、King's and Queen's Englishを気取っているような難解な表現も散見される。(だから、OxfordとCambridgeは嫌いなんだ、わたしは。)と思ったものの、最終章末尾に引用されている、ハンガリーの小説家、Gyorgy Konradの小説の一部の難解さをみると、やはり平易に書かれていると評価できるのかもしれない。それと、アメリカ合衆国に次ぎ、日本とほぼならぶ悲惨なBroken Britainの福祉については、一切言及されていない。けっ、しょせん、Oxfordの福祉なんざ、ブルジョワの玩具でしかないのかもしれない。くそったれ!
とかなんとか文句ばかり言ってもしようがないし、総じて内容的に優れているのは明白であるので、来年から担当する「社会福祉文献講読」のテキストとして、本書を採択することにした。来年は「5: Community social work」、再来年は「6: Does it work?」を学生と読むことにしよう。予定は未定で、もう少し読みやすいテキストを探してみたい。
Table of Contents
1: What is social work?
2: The politics of social work
3: Social work with individuals and families
4: Social work with groups
5: Community social work
6: Does it work?
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