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本と音楽とねこと

崩壊する世界経済

 最近、クルマの交通量が減り、道路が空いていることが多い。原因は、言うまでもなく、ガソリン価格の急騰だ。画像は、WTI原油価格の3ヶ月チャートだが、利益確定の売りをまじえながらも一貫して上昇基調にあることがわかるだろう。1バレル150米ドル越えももう間近。ガソリン価格がリッター200円を超える日も近い。これを第3次オイルショックと言わずになんと言う。
 原油価格の高騰は、窒素・リン酸・カリウムの抽出コストを押し上げて化学肥料の価格を吊り上げ、これまた先物市場で取引される穀物価格の高騰ともあいまって、食料品の値段が急上昇している。原料費、運送費の高騰は生活必需品のすべての価格を押し上げる。原油価格の高騰は企業の収益を押し下げるので、賃金は上がらない。賃金上昇なき物価上昇。悪夢のようなスタグフレーションの到来だ。
 おそらく、原油高、ドル安、株安の連鎖は止まらないだろう。おそろしいことに、アメリカの年金ファンドは、株式、債券投資に見切りをつけ、原油、穀物の先物取引に莫大な基金を投入している。世界経済がどうなろうが、自らの年金基金さえ資産価値が向上すればいいという、このえげつなさ、あさましさ。
 まあ、しかし、希望はある。いま、日本の自動車メーカーは、ハイブリッド車、燃料電池車の開発にしのぎを削っている。ただでさえ自動車の販売が低迷してるのに、この原油高とあっては、自動車の脱ガソリン化をはからなければとうてい生き残っていけないからだ。政府の補助金事業が再開されれば、動力源の太陽光発電をはじめとする自然エネルギーへの転換も加速していくだろう。また、化学肥料の高騰は、有機農業の普及を促していくことになるかもしれない。
 過去の石油危機では脱化石燃料社会を実現できなかったが、今度ばかりは国民の生存をかけたぎりぎり崖っぷちの技術開発・転換が推進されていくにちがいない。

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