筆者は、フランスに倣って、日本にも、「社会保障基金政府」を設立するよう、提言しているが、賛成だ。
「社会保障基金政府」は、中央政府、自治体から独立しているので、基金の恣意的運用はできなくなるし、保険料、税務査察権を行使すれば、公正な保険料、租税徴収が可能となるだろう。
少し焦点がずれている部分もあるし、最低所得保障についての提言がなされていないのは不満ではあるが、まあ、納得できる内容ではある。
資本主義の歴史を俯瞰し、著者はその歩みを、国民国家の膨張とその衝突と捉える。その中で、戦争や大恐慌などの歴史的転換期に起きる「非線形変化」と、経済循環による「波動」をつかむことで、危機的状況にある資本主義の病理を浮き彫りにする。税制や社会保障制度などの新たな枠組みは、今日のような歴史的転換期に更新されていく。そこに、これらの制度やルールの空白が生じ、「独占」が生まれる。「独占」に抗し、「失われた30年」とも言われる閉塞状況を打破するには、社会を変えていく原理として、制度やルールの「共有」が有効となる。個人の自由と平等を保障しつつ、新しい産業構造への転換を促す道を提示する。
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