橋本宏子,1996,女性福祉を学ぶ──自立と共生のために,ミネルヴァ書房.(8.26.24)
女性一人ひとりが自分自身の人生を創るためには自立できる生活基盤の整備が必要です。すべての女性にとって幸福で生きやすい社会づくりを目指して様々な女性問題を福祉の目で見直します。
本書が出版された当時は、それなりに意義があった内容だったのだろう。
社会福祉にジェンダー視点が必要なのは、以下の理由による。
〇貧困は、シングルマザーとシングル高齢女性において、もっとも深刻であること。
〇暴力、性搾取の被害者において、女性が多数を占めること。
〇社会福祉の対象者、福祉サービスの供給者のいずれにおいても、女性が多数を占めること。
これらの動向をふまえた、社会福祉におけるジェンダーの主流化が必要なのであるが、ここ30年近くの歩みは遅々として進まず、本書で展開されている問題系は現在にもなお引き継がれている。
残念なことではあるが、わたしたちが生きている以上、諦めてはいけない。
目次
序章 女性福祉への道すじ
1 女性解放への目覚め
2 働く女性のひとりとして
3 私の体験的女性論
第1章 女性問題とは何か
1 両性が平等でないという現実
2 「法的には平等」というけれど
3 真の平等をめざして
第2章 労働と女性
1 雇用されて働く女性たち
2 雇用における男女平等を実現するために
3 非雇用労働者の女性たち
4 女も男も仕事と家庭の両立を
第3章 仕事・家庭と女性
1 家族政策と女性労働力
2 女性労働力と保育政策
3 保育制度「抜本的改革」の中身
4 母と子の権利を同時保障する保育政策へ
第4章 高齢社会と女性
1 日本の高齢化の実情
2 「日本型福祉」政策とその問題点
3 豊かで安らかな高齢社会のために
第5章 母子家族
1 母子家族の実態
2 母子家族対策の現状
3 母子福祉の問題点とこれからの課題
第6章 セクシュアリティーと女性
1 男性をいやしめる売買春
2 セクシュアル・ハラスメント
第7章スウェーデンの女性たち
1 男女平等世界一のスウェーデン
2 保育施策と高齢者福祉
3 高福祉を可能にする北欧デモクラシー
終章 これからの女性福祉
1 北京会議に参加して
2 「女性福祉」へのエンパワーメント