小手鞠るい,2010,カクテル・カルテット,ポプラ社.(3.1.25)
過ぎた恋を切なく思い出し、現在の恋に身を焦がす。ままならない思いに苦しみながらも、そこにもまた甘美な感覚が潜むのを発見する―甘いだけでも、苦いだけでもないのが恋。カクテルもまたしかり。さまざまなカクテルに寄せて、4人の男女の恋模様が描かれる物語。
とてもおしゃれな恋愛小説。
わたしは酒が飲めないのでカクテルのことはまるでわからんちんなのだが、雰囲気だけは楽しめた。笑
遠い遠いまるで前世のように遠い若き日、福岡天神のシャレオツなレストランの、仄暗い室内に灯るテーブルランプに胸ときめかしていた、まだ可愛らしかった頃の自分。笑
小手鞠さんの恋愛小説、好きだな。
既婚の女も、男と同様、婚外恋愛するから。
ジェンダー平等を貫くフィクションは、清々しくて実に良い。
小手鞠るい,2024,つい昨日のできごと──父の昭和スケッチブック,平凡社.(3.1.25)
SNSで話題となった著者の父のスケッチブックを題材に、戦中?戦後を生き抜いた一市民=父親の姿を振り返りながら、昭和という激動の時代を活写。イラスト多数収録!
小手鞠さんの父親、川滝喜正さんが娘に託したスケッチブック。
それをもとに、戦中、戦後の川滝さんのライフヒストリーが語られていく。
時代状況に翻弄されながら懸命に生きた一庶民の息吹がよく伝わっている。
目次
プロローグ 蠍座の父
第1夜 つい昨日のできごと―『アップルソング』
第2夜 軍国少年ができあがるまで、あるいは軍国少年の作られ方
第3夜 「レェイディオ」で聞いた「デス・バイ・ハンギング」
第4夜 働く者の幸いを―ブルーカラーの青春
第5夜 こけし人形と白い橋
第6夜 父と娘の昭和草紙―愛の重さ
エピローグ がんばれテレさん