『協同組合 未来への選択』では、協同組合運動の現状と課題についての、けっこう骨太の論考が展開されている。
労働者協同組合の意義と可能性は大きいが、消費生活協同組合と共済生協についてはどうだろうか。
消費生協は、戸別配達が主流化し、既存のスーパーマーケットの商品との差別化が難しくなっている。「戸別配達」が便利だからという理由で利用している消費者が多いだろう。「動物福祉」、「環境保全」、「生産者支援」という付加価値を重視していかないことには、商業主義のなかにうずもれていくだけではないだろうか。
共済生協も、民間保険との競争のなかで「割安感」が希薄化し、存在意義を失いつつある。非正規化がすすむ生協職員待遇の改善をはかり、「割高だけれど理に適う」サービスを展開することで、民間保険との差別化をはかるべきではないだろうか。
いずれにせよ、協同組合は、組合員一人一人が、出資、活動、経営に参加する、民主主義のアソシエーションとしての原点を忘却するべきではない。
中川雄一郎・杉本貴志編著,2012,協同組合を学ぶ,日本経済評論社.(11.3.2020)
中川雄一郎・杉本貴志編著,2014,協同組合 未来への選択,日本経済評論社.(11.3.2020)
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