結城康博,2024,介護格差,岩波書店.(11.6.24)
団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、団塊Jr.世代は50歳を超える2025年。介護問題がさらに深刻化していくのは必定とされる。経済、医療・健康、情報、地域、親類・縁者、世代間、意識の7つをキーワードとして、介護保険の実態や課題を余すところなく解説。誰もが安心した介護生活を送るための決め手を探る。
本書は、介護保険制度の問題点を最新のデータを用いて洗い出すと同時に、要介護の当事者、およびその予備軍に向けて、制度の使いこなし方をていねいに解説した著作である。
社会保障の世代間格差を考えると、現行水準以上に高齢者の福祉、医療、年金に公費をつぎ込むのは困難な状況にあるが、結城さんが主張するとおり、今後は、法人税、相続税、資産課税を強化し、それを財源に、とくに高齢者福祉の充実をはかっていくべきだろう。
人口構成の高齢化にともない、社会保険方式で高齢者福祉をまかなうのは困難になりつつある。
税財源への移行を進めていかなければ、制度あってサービスなしの問題状況が深刻化する一方であろう。