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本と音楽とねこと

それでもバカとは戦え

適菜収,2021,それでもバカとは戦え,日刊現代.(11.6.24)

こんなに辛口、いや激辛の政治批評はなかった!
「ストップ・ザ・自公政権」安倍・菅内閣の2年半の失敗と罪をバッサリ一刀両断。現代の政治家たちの薄さと軽さを、その言動から鋭くえぐり、ギャフンと言わせる痛快無比の政治コラム集。永田町が風雲急を告げるこの時期、国民が今なすべきことは何か。その指針となる一冊だ。
無責任な政治が続くと、ついつい有権者はあきらめや慣れで、政治に無関心になってしまう。「どうせ何も変わらない」と投票に行くことさえおっくうになり、放棄する。しかし、それこそ思うツボ。国民の無関心と無気力が三度の飯よりも好きなのが、だれあろう、無責任な軽薄政治家たちなのである。だから筆者は「それでもバカとは戦え」と、啓蒙・鼓舞する。ここにある「戦うべきバカ」とは何なのか。それは読んでの楽しみだが、ちなみに本書に登場する人物は安倍晋三、菅義偉、麻生太郎、小池百合子、橋下徹、吉村洋文、プラスその仲間などの面々である。名前を聞いただけで、もう、顔も見たくないよという国民が多いことだろうが、しかし、それで終わらせてしまったら、無責任政治家のやりたい放題。本当にこの国は何も進歩しなくなる。いや、国などどうでもいいが、ここで戦わない人は自分の内面まで腐らせてしまうのだ。
筆者は、本書のタイトルについてこう語っている。〈バカと戦ったところで、バカがいなくなるわけではない。社会のダニを批判したところで、日本がよくなる保証もない。それでも目の前にあるゴミは片付けなければならない。……たとえ手遅れであったとしても、事なかれ主義と「大人の態度」を投げ捨て、バカとは戦わなければならない。これは人間の尊厳に対する義務なのだ〉無責任政治に無気力になることなかれ。本書は、溜飲が下がるだけでなく、まともな人間としての怒りと闘志を呼び覚ましてくれる激辛の政治指南書である。

世の中には、放置していいバカと、いけないバカがいる。医療崩壊、生活崩壊…こんな日本に誰がした。大罪の自公政権を撃つ。

 まず、表紙の写真にある面々を見て、吐き気をもよおす人も多いだろう。

 右でも左でもなくただマトモであるという人なら、そう思うだろうなという叙述が続く。

 家柄がいいという理由だけで出来損ないのボンボンが国のトップになってしまう。勉強が大嫌いで嘘をつくしか能がなかったガキ(野上忠興著『安倍晋三 沈黙の仮面』)が、小学校からエスカレーターで大学に進み、いつの間にか卒業。南カリフォルニア大学政治学科留学と自称していた時期もあるが英語はしゃべれず、義務教育レベルの漢字も読めず、日本語は大の苦手。歴史、政治、憲法について無知をさらし、箸も持てず、犬食いで、迎え舌。精神の成長が止まった65歳児が今では玩具を振り回すようにして国の破壊にいそしんでいる。
(p.81)

 しかし、本当にひどい7年間だった。安倍政権がやったのは国と社会に対するテロだった。これは大げさな表現ではない。
 安保法制騒動では憲法破壊に手を染め、しまいには首相補佐官が「法的安定性は関係ない」と言い出した。北方領土の主権は棚上げされ、不平等条約締結に邁進。国のかたちを変えてしまう移民政策を嘘とデマで押し通し、森友事件における財務省の公文書改竄、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚生労働省のデータ捏造など、一連の「安倍案件」で国家の信頼性を完全に破壊した。水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃をもくろみ、皇室に嫌がらせを続け、今回の「桜を見る会」問題では、証拠隠滅を図りながら逃げ回った。
 要するに悪党が総理大臣をやっていたのだ。この究極の売国奴・国賊を支えてきたのが「産経新聞」をはじめとする安倍礼賛メディアであり、カルトや政商、「保守」を自称する言論人だった。
(pp.86-87)

 思い起こせば、この国にはマトモな政治があったためしがない。

 とくに、第二次安倍政権成立以降、その酷さに拍車がかかった感がある。

 わたしの唯一の慰めといえば、一度なりとも、自民党、公明党、日本維新の会を支持したためしがないということだけだ。

目次
第1章 平成末期を汚し続けた恥知らずの「安倍一味」―2019年1月~3月
第2章 令和ニッポン「本当の反日勢力」を追及せよ―2019年4月~6月
第3章 国民を騙し続ける言語道断の詐欺集団に鉄槌を―2019年7月~9月
第4章 「桜を見る会」でいよいよ詰んだ悪夢の政権―2019年10月~12月
第5章 コロナ禍のどさくさ紛れで悪あがきする魑魅魍魎―2020年1月~3月
第6章 パンデミックを加速させるお粗末なリーダーたち―2020年4月~6月
第7章 安倍時代の終焉と呆れるしかない後継者の名前―2020年7月~9月
第8章 バカのあとにバカが総理となった日本の緊急事態―2020年10月~12月


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