内田さん、かなりむかしの著作であるが、飾り気のない語りのなかで鋭い洞察が展開されており、内田エッセイの醍醐味が味わえる作品だ。
わたしは、憲法9条は改正すべきという考えで、そこは内田さんと異なるわけだが、<「人類の滅亡」という悪夢の効用>を読んでさすがだ、と思った。そうなのよ、いつ核戦争が起こって、一瞬のうちに蒸発するかわからないなかで、その悲劇のありようをつねに意識することによりかろうじて悲劇は回避しうる。人類滅亡は最後の希望だと思うのは自分くらいだろうと思っていたので、少しうれしかった。
ますます、日本は、核兵器不拡散条約(NPT)を破棄し、核武装すべし、という考えがかたまった。
こつこつ働き、家庭を愛し、正義を信じ、民主主義を守る…。「日本の正しいおじさん」たちが心の支えとしてきたモラルや常識が棄て去られてしまった現代、「おじさん」たちは何を指針に生きれば良いのか。最も信頼できる論客が、今こそ「正しいおじさん」の功績を讃え、思想体系を整備し、成熟した大人として生きるための思考方法を綴った、知的参考テキスト。
目次
第1章 「おじさん」の正しい思想的態度
「普通じゃない」国日本の倫理的選択
国際社会における威信より大事なもの
「護憲」派とは違う憲法九条擁護論 ほか
第2章 老人国日本にむけて
夢の中年シングル生活
「人類の滅亡」という悪夢の効用
「お先にどうぞ」という倫理的生き方 ほか
第3章 「説教」はおじさんの義務であり権利である
大学全入時代にむけて
押し掛けお泊まり中学生
フリーターの隠れた社会的機能 ほか
第4章 「大人」になること―漱石の場合
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