ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ』
私弁当
彼弁当
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
室生犀星の詩の中でも、(多分)一番良く知られた詩ではないでしょうか。
学校の国語のテキストで初めて出逢った時、室生犀星に己をだぶらせずにはいられませんでした。
それから大人になり、故郷を切り捨て遠くに暮らすようになった今、その詩の中に愛情への渇望を感じるのは、単に私がそうだからだけなのでしょう、きっと。
父親の犯した恥のせいで、閉鎖的な田舎町で、物心ついた頃から後ろ指さされて来ました。
それでも歯を食いしばって故郷に留まり続けていたのは、母の存在。
でも母が不治の病に冒され他界した時、私は故郷も冷たかった父方の親族も、一切捨てて来ました。
なのに、なぜか今でも桜が見事だった故郷の夢を見ます。
今朝も近隣に名高い城跡に咲く桜の中を、母と歩く夢を見ながら泣いていました。
『よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ』
親も兄弟姉妹もいない私の居場所は、私の存在を必要としてくれる誰かの傍ら。
お荷物扱いされて来た故郷の親戚など、他人以下なのです。
私弁当
彼弁当
・豚の角煮
・ひじきの煮物
・味玉
・きゅうり漬け
・かぼちゃの塩バター合え
・蕗の佃煮
夢見のせいで、ちっとばかりおセンチな來夢でした。