Walter Spies ヴァルター・シュピース (1895年ー1942年)
(写真は、雑誌 「Seven Seas」 2005年 5月号 )
裕福なドイツ人外交官の家庭 (駐モスクワ時 ) に
生まれたシュピースは、
幼少の頃より、絵画、音楽、舞踊などに親しみ成長します。
青年期をドイツで画家として暮らしていたシュピースは、
1920年代後半、バリ島に移り住みます。
「バリの霊感」 を受けたアーティストのひとりです。
(2月26日のブログ参照 )
指導者として、バリ絵画における 「ウブド スタイル」 を
確立させた画家として知られ、
自らも数多くバリ島を描いた作品を残しています。
しかし、シュピースの影響は絵画だけに留まらず、
「現代バリ アートの父」 と呼ばれる多くの功績を残しています。
たとえば、それまで宗教儀礼の脇役であった 「ガムラン」 を
オーケストラのように編成し、その演奏をレコード化し、
欧米で発売しました。
また、
バリ島の各地に伝承されていた様々な舞踏の呪術的な神秘性と、
独得の動きおよび鮮やかな色彩感覚に注目したシュピースは、
「ラーマヤーナ」 の物語をモチーフとした
新たな舞踏劇 = 「ケチャ」 を完成させます。
バリ島のアニミズムをアートへと昇華させ、
(2月10日のブログ参照 )
さらにエンタテイメント性を加味し、バリ アートを世界に向けて
発信したシュピースの功績は実に偉大です。
1942年太平洋戦争の最中、バリ島を離れた洋上で、
シュピースは日本軍機の攻撃によって
非業の死を遂げます。
きょう 3月10日は、10万人の尊い命が奪われた
東京大空襲の日 ・・
65年前のことです。
合掌
jfk-world