先日トロントで、シルクドソレイユの
2007年パフォーマンス=Koozaを
訳あって3日連続で観てきました。
3回続けて観ても飽きさせないエンタテイメントは、
全く見事の一言に尽きます。
特に際立ったパフォーマンスがある訳ではなく、
クラウンがいて空中ブランコそして綱渡り ・・ といった、
どれも古典的なサーカスの出し物ばかりです。
しかし、どのパフォーマンスも水準をはるかに超えています。
そして、なによりも観客をひきつけているのは、
化粧=メイクアップと衣装のおもしろさでしょう。
原始時代、暑さや寒さそして害虫などから身を護るために、
からだに泥や砂を塗ったのが化粧のはじまりでしょう。
そのとき、化粧をほどこした自らの姿に、
人々は新しい発見をしたに違いありません。
変貌の感覚です。
同様に、木の皮を巻きつけた衣類も、 やがて、
特定の身分や地位や嗜好を表す象徴へと変わっていきます。
衣服から衣装への変遷です。
つまり、化粧も衣装も、それによって新たなキャラクターを得る・・
つまり「変身」への手段なのです。
シルクドソレイユのスタッフルームでの打ち合わせ中、
何人かの素顔のパフォーマーを見かけました。
誰も、驚くほど普通の青年、少女たちです。
しかし、彼らがひとたびメイクアップを施し衣装を身につけたとき、
強烈な個性を放って観客を魅了する・・
「変身」させることによって生まれる圧倒的な存在感が
個々のパフォーマーに宿ります。
シルクドソレイユの創造性に感服すると同時に、
これぞショービジネスの原点なんだな・・
と妙な納得をする体験でした。