がめらのフィールドノート

人と自然との出会いの中から湧き上がった想いや音楽、エピソードなどを、紹介します。

久しぶりに富士山ガイド

2014年08月26日 | アウトドア
10年ほど前に、沖縄に引越ていった知人家族が、久しぶりに横浜に来ることになり、そのご家族が、ぜひ富士山に登りたいと言ってきました。
本格登山はしたことがないので、装備から服装から、すべて教えてほしい、とも。

んー。
世間は確かに富士山ブーム。初心者だろうが超巨大ツアーだろうが、お構いなしに富士山に登っています。
でも、私の間隔としては、「そんな甘いものじゃないですよ」という感じ。
確かに、条件が整えば、何事もなく登れてしまうのも事実です。
でも、ひとたび条件が悪くなったときには、標高3000mを越える場所では、非常に厳しい環境に身をさらすことになります。

こどもが小さい頃、家族ぐるみでおつきあいしたご家族からの提案。
熟慮の末、引き受けることにしました。

「行けるところまでですよ。山頂に立てたら本当にラッキーですね。」と。


21:15
須走口から入山。天気は今にも降り出しそうな曇り空。
メンバーは、沖縄のお父さん、20歳の息子、18歳の娘。20歳の私の娘と、同じ学童保育で一緒にすごした20歳の男子。私を入れて計6人。

はなっからご来光はあてにしていないし、須走口なら、頂上まで行かなくても、どこからでも拝むことができます。
とにかく、沖縄のお父さんのペースに合わせてゆっくりゆっくり登りました。

ところがお父さん、私の予想をはるかに下回るローペース。
20分に一回は休憩を入れないと歩けないご様子。

でも、こどもたち一同、はげまし合い、助け合い、文句も言わず、登っています。

あぁ、そういえば、家族の登山ガイドは、今までしたことはなかったっけ。
家族ならではの、無言の気遣いが伝わってきます。


2:50
本七合目(3200m)到着。

お父さんが、「もうダメかなぁ」と切り出しました。
うーん、確かに。ペースも遅いし、子どもたちには逆に酷かな・・・。
でも・・・。

「八合目まで頑張りましょうよ。八合目から先は、子どもたちを連れて登ってきます」


八合目でお父さん、無念のリタイア。
「こどもたちで行っておいで。俺はだめだぁ。」

登らせてあげたかったけれど、無理なものは無理。
でもごともたちの前で、素直に「弱音」をはけるお父さんの姿、胸にぐっとくるものがありました。


さあ、そこからはハイペース!!
ぐんぐん標高を上げていきます。



おぉ、いいペース!!と思ったのもつかのま。
夏の富士山ではお約束の、頂上直下の大渋滞。
うーん、せっかくあたたまったからだがどんどん冷えていく。



そろそろ日の出の時刻。周囲は真っ白の雲に囲まれています。

こりゃあ、ご来光はおろか、景色も満足に見えやしないなぁ、と思っていた矢先、周囲の雲がさーっ晴れていき、下界の景色が!!


ご来光が見られなくて意気消沈していた登山客から、おおーっ、と歓声が上がりました。
みんな、ふりかえってカメラのシャッターをきります。



・・・とうぶん登れないなー、なんて、ちょっと冷めた目で見ている自分が、ちょっとイヤだったかな。
やっぱり、初めて見る景色にみんな興奮しているんだよね。


5:30
須走口山頂に到着。

頂上の碑で記念写真を撮るのに15分ほど並んで順番待ち。



頂上は高尾山か?というくらいの混雑。
場所を見つけて、バーナーでお湯をわかして、食事。

一瞬切れた雲は、また周囲を覆い、風も出てきて、お鉢めぐりどころではありません。
こどもたちが「寒い、寒い」と言い出しました。

こどもたちの貧弱な装備では無理もありません。(私の装備も貸しましたから、私よりは厚着してたはずなんですけど。ま、これはやはり「慣れ」なんでしょうかね。)


急いで下山。

八合目で無事お父さんと合流。
感動の再会であります。

「お父さん、頂上登ったよ」「ほんとかぁ。すごいなぁ。よかったなぁ」

うん、家族の登山。途中でリタイアしたって感動は待ってるんだね。


11:00
下山。



沖縄のご家族から、たくさんたくさん感謝の言葉をいただきました。
最高の富士登山だった、と。


わたしにとっても、いい思い出になりました。

P.S.そういえば、私の娘もいたんでした。娘と本格登山をしたのも、今回が初めて。
よく登れたなぁ、あいつ。

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