がめらのフィールドノート

人と自然との出会いの中から湧き上がった想いや音楽、エピソードなどを、紹介します。

学童キャンプ・2日目~富士風穴

2008年07月20日 | アウトドア
今日も朝から暑いっ 今日は、朝ごはんもそこそこに、車で30分ほどの場所にある「富士風穴」に行きます。大人だけのプログラム。このあたりは鳴沢氷穴と富岳風穴が観光地として有名ですが、「富士風穴」は天然の風穴。降り口に丸太のハシゴこそかけてありますが、照明も手すりも何にもありません。奥は、人間の手がほとんど入っていない風穴なのです。

風穴はそもそも富士山の噴火によって流れ出した溶岩が、冷えて固まっていくうちに、中の水蒸気などが外界に逃げ出してできた空洞で、地下に樹の枝のように広がっているので、「溶岩樹形」と呼ばれています。中は一年を通じて温度が0℃前後で一定に保たれ、風穴の中は一年中氷が溶けることはありません。

からだにはレインウェアを上下着こみ、軍手をし、ヘルメットをかぶり、ヘッドライトを装着します。けがは自己責任です。



降り口のハシゴを下りていくと、暗闇に目が慣れず、どこに足を置いていいのか、どこにつかまっていいのか、まったく見えません。しばらく暗闇に向いて目を慣らす必要があります。目が慣れてきたら、私が先頭になって、そろそろと岩壁につかまりながら、先へと進んでいきます。中はほとんど平坦なので、あとは一面氷の足元が滑らないように、頭上にせりだした溶岩でけがをしないように、注意して進むだけです。



5分ほど進むと、氷の床からは氷柱が現れ、天井からはつららがさがり、岩壁には氷の結晶がきらきらと輝いているのが見られるようになります。



ゴールは「ホール」と呼ばれる大きなドーム状の場所。全員で輪になって、ヘッドライトを消してみます。ほんとうの暗闇・・・。目を開けていても目を閉じていても変わらない暗闇。自分の手がどこにあるかわからない暗闇。すぐ隣にいるはずの人の姿がまったく見えない暗闇。つららからしたたり落ちる水滴の音が、静寂のためにキーンと鳴っている耳の奥に響きます。

人間から動物に回帰した瞬間かもしれません。

風穴から出たときの太陽の光、樹々のみどり。明らかに風穴に入る前とは違う、とみなさんおっしゃいます。おそらくそのとおりなのでしょう。暗闇の風穴の中で、人間の五感は本来の性能に近づこうと、研ぎ澄まされたにちがいありません。



心ない人たちが、長い年月をかけてできた風穴のつららを故意に折っていったり、なめらかな氷の表面を傷つけていったりします。安全のためにハーケンを打ち込んだりする団体もあります。楽しむためなら何でもしていいのかな。私はそこまでして入ろうとは思いません。ほんの少しのぞかせてくれれば、大自然の営みを垣間見ることができれば、それでいいと思うのですが。


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