飛翔

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濫読の楽しみ(2)

2013年05月22日 | 散策

ソフトバンク創業者、孫正義氏の伝記。ドキュメンタリ-作家佐野眞一氏の渾身の一作。

「ステイーブ・ジョブズ」(上、下)の著作者アイザックソン氏の作品に対する対抗心には、佐野氏のプロとしての強い執念を感ずる。

佐野氏の資料調査力が凄い。孫氏が生まれ、育った場所だけでなく、孫氏のエネルギーの源はどこにあるのか、韓国の数回訪問で、そのルーツを探る。

孫氏は、父親に徹底的に褒められて育った。「お前は天才だ」「お前は絶対成功する」と、小さいときから褒められ続けた。

勿論、氏の能力が並大抵ではないということもあるが、この褒め作戦が孫氏を成功に導いたと感ずる。

よし、絶対成功して見せるという意気込みが違ってくるのです。自分は失敗するのでは、危ないなと思っていると、エネルギーがその分低下する。

人は、絶対成功するという自信を持てば、その努力が報われる。小学生の中学年頃から、物凄く勉強した。

アメリカのカリフォルニア大学バークレー校に通い、優秀な成績を修める。

ビル・ゲーツやステーブ・ジョブズと交流があり、新しいパソコンを通じた情報産業の分野に参入した。

そして、現在日本一の資産家になった。

3・11の原発事故に100億円を寄付し、更に自然エネルギー導入の基金を起こしたこともよく知られている。

そんな中で、在日であることによるバッシングを受けているが、本人が至って前向きな点には感心する。

最近にない非常なエネルギーを感じ、発奮させられる本であった。

主人公も凄いが、ドキュメンタリー作家も凄いと感じさせられました。 

村上春樹氏は、さすが小説家というか文章作りのプロという感じです。

「自分の考えを文章にしないと、正確に把握できない」という文章が出てきますが、文章化することで、自分の考えを理解するんですネ。

普通の人は、文章に書くのが苦手で、話すほうが楽だと思ってる人が多いと思うのですが。

やはり、物事の筋道を正確に表現するには、文章化することが必要で、そのための訓練が必要なのだと思いました。

本書で出てくる氏の翻訳によるフィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」も読みました。確かにどのページを開いても、熱中しますね。

村上春樹氏の本をこれで、4冊読みましたが、非常に爽やか感を感じる本だと思いました。

読み易い文章で、つい時間の経つのを忘れてしまいます。