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モラモラ会社員がムラムラしながらお届けするヌルヌルアーカイブ。

泣いて内定? Xserve

2005-03-03 | ヌルヌルアーカイブ
まさか、この歳で、このシチュエーションで……「泣く」とは、自分でも思ってもみなかった――。

一連の自己プレゼンのあと、彼は何かを考えていたようで、何回か沈黙が生じる瞬間があった。俺はそんな彼の様子が理解できず、いささか怪訝に思いながらそれを見守っていた。すると、彼はおもむろに……

「オマエって、謙虚?」

と訊いてきた。

「めちゃめちゃ謙虚ですよ」

と、俺は答えた……しかし、彼は見抜いていたんだ……俺が単なる“モラモラ会社員”だということを……。

この2、3コ前の質問で、「オマエがいままで生きてきて、一番尊敬してる人って誰?」というのがあり、俺は前の会社の上司でいまも同じ職場にいるある人のことを話した。

そう、彼の物言いは、その人とまったく一緒だったんだ……。

そして俺は、普段から常に心の奥底で感じている自分のウィークポイントを、このたかだか1時間くらいの本当にわずかな時間のなかで、見事に射抜かれてしまった。

……でも、なぜ? なぜそんなことを、わざわざあなたは言ってくれるの?

俺の言葉にならない疑問を察知したのか、彼は次のような主旨のことを言った。

「俺はこのたかだか1時間という限られた短い時間のなかで、例えもう二度と逢うことはないだろう相手だとしても、自分がその人に“何を与えられるか”ということを常に考えている。せっかくの稀な機会を、お互いにとって無駄にしたくない。一見非効率的かもしれないが、俺はそうしていくことによって世の中が少しでも良い方向に向かっていき、ひいては自分自身に返ってくると信じている」

着ていた鎧が――まるで「ホムンクルス」に出てきたヤクザの親分のように――ガチャンガチャンと音を立てて崩れ脱げていった。

気づくと俺は、号泣していた――。

……こんな経験は、もちろん生まれてはじめてだし、何より彼の器のでかさに驚いた。

今日という日を忘れずに、今後の人生を歩んで行こうと思う。