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邂逅! 伝説の過剰サービスタクシーでXserve

2005-06-04 | ヌルヌルアーカイブ
「ガム、食べます?」――今日乗ったタクシーの運ちゃんに、突拍子もなくこんなことを言われた。

「は、はひっ」――1枚たりとも予想だにしなかったその展開に、俺はこう答えるので精一杯だったんだ……だって、俺たちはまだ彼に目的地すら告げていないんだぜ……?

「なぜにホワイ?」「こんなのはじめて!」――同乗者たちも、口々にこう言う。

「そう言われるのが嬉しくて、やめられないんです。ほら、クールミントだけじゃなくて、フラボノもありますよ。ほかに、キャンディーも各種取りそろえてますよ」――すばらしい。すばらしいとしか言いようがない。何という崇高なる……そして、真の意味で“有り難い”、プロ根性。

「一期一会の客商売だからこそ、その瞬間を大切にしたいんだ、俺は」――運ちゃんのそんな気概が、柔和極まりない笑顔から漏れ霞んだ。こうなってくると、もはや“ガムをもらった”という事実は、さして問題ではない。とにもかくにも……すげぇ。すげぇよ、アンタ。

「タクシーでワンランク上のサービスを受けたいときは、乗るときに運ちゃんの名前をチェックして、○○さんよろしくお願いしますと、さりげなく言うのが非常に有効である」――と、どこかで聞いたことがある。しかし、そんなイマイチ実行に移すほどの機会もないマメ知識よりも、はるかに稀有なことを、たまたま乗りめぐり逢わせたこの運ちゃんは、その全身全輪をもって体現している。

「しあわせだなぁ」――フラボノ特有の、あの甘い香りを鼻腔に漂わせながら、俺はしみじみと、そう呟くのだった。

そして……

「そんな日常のささいな出来事にしあわせを見い出せる俺って、すごくしあわせだなぁ」――と、これまたしみじみと、つくづくそう思うのだった。

なんか最近、毎日がもう……なんでか、そんな感じかも。