春風優しく吹く中、青空のもとで
厳かに執り行われました。
平和祈念展望台奉賛会会長、畠野氏の
お言葉の中から
「空よ、海よ、御魂よ、安らかに・・・」
そして、昨日の
池田学園池田中学３年生の
生徒代表 長田莉沙さんの追悼文奏上を
みなさんにお届けしたいと思います。
少し長くなりますが、
追悼の意を込めて、
是非読んで貰いたいと思っています。
＜平和への祈り＞
長田 莉沙
ここ火の神公園にもうららかな春が訪れ、
優しい光が降り注ぐ本日、
「第二艦隊戦没者追悼式」に参列でき、
大変意義深く有り難く思っております。
今この地に立ち、目の前に洋々たる碧い海を臨むとき、
今から６５年前の今日、
ここから西南西二百二十キロ沖が戦場と化し、
多くの尊い命が失われた事実を胸に震わせています。
戦争とはなんと悲惨で恐ろしいものなのでしょうか。
ところで、私は小学校６年生の春、今から３年前、
祖母から手渡された一通の手紙を大切に持っています。
「莉沙ちゃん、今なら理解できると思うから」と
言って私に託してくれた古ぼけた手紙。
宛名は祖母のお母さん。つまり私の曾祖母。
差出人は戦死した曾祖父でした。
手紙には
『テッチャンモイヨイヨ今日カラ二年生ダネ。
オ父サンハテッチャンガ元気デ學校ニイッテル夢ヲ見タ。
孝チャンモミヨ子チャンモ元気ダロウ。
オ母サンヤバアサンヤネエチャンノ言ウコトヲヨク聞イテ、
立派ナ日本ノ子供ニナラナケレバイケナイ。強イ子供、
泣カナイ子供、悪イコトヲシナイ子供、コレガ一番ヨイ。
ソシテ、オ母サンノ言ウコトヲ守ルコトガ
ヨイ子供ダト言ワレルコトダ。』と書いてありました。
漢字片仮名混じりの手紙。
読みながら涙が止まりませんでした。
手紙に出てくる小学２年生の「テッチャン」は、
私の祖父です。戦場にいる自分の苦しみは
一切触れず家族を思う愛情溢れる文面。
その精神の美しさと強さに、
人を愛する本当の心をみた思いがしました。
目の前の冷たい海に眠っておられる３７２１名の
皆様の思いも曾祖父の思いも同じだろうと思います。
生きたくても生きられなかった尊い命に
かわりがあるはずがありません。
この春、私は中学校最高学年、３年生になりました。
平和な時代に生まれ育ち、友達と共に楽しく
学校生活を送っています。
それぞれが自分の将来の夢に向かって
勉強にスポーツに頑張っています。
挑戦し努力する熱い心と強い思いを
持ち続ければ夢は叶うと信じています。
幸せな時代であればこそ、高い志を持ちながら
戦争でそれらをすべて奪われてしまった方々のことを、
私たち若い世代は決して忘れてはならないのです。
お国のためにと命を捧げ、
今日の平和の礎を築いてくださった皆様のお心を、
無駄にしない生き方をしたいと思っています。
しかし、世界のどこかでいまだに戦争や紛争が続き
今も誰かの命の灯が消えていく現実があります。
人間は何故愚かな戦争を繰り返すのでしょうか。
ユネスコ憲章にはその冒頭に
『戦争は人の心の中で生まれるものであるから、
人の心の中に平和の砦（とりで）を築かなければならない』
とあります。
私はこの言葉が、まさに先の大戦でなくなられた方の
「平和への祈り」に聞こえます。
祖母が何故私に大切にしていた一通の手紙を託したのか・・・
今ならその意味がわかる気がします。
これからを生きる私たちにできることは、
「戦争」について正面から向き合い、語り継ぎ、
「平和の大切さ」「命の尊さと重さ」を考え
訴え続けることだと思います。
そして、一人一人が心の中に平和の砦を
築けるような生き方をしなければならないと思います。
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透き通るようなバイオリンの音色にのって
御魂が来てるように感じる春風の中での
言葉にできないほどの素晴らしい追悼文奏上でした。
もちろん、溢れる涙を拭いながら 心震わせながら、
聞かせて貰いました。
みなさんにも、是非
「一人一人の心の中で生まれる平和の砦」の意味を
深い心で 考えて貰えればと思うところでした。
