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「魚は感覚ある生物であり各国は魚の福祉を最大限考慮しなければならない」 リスボン条約 2007年

2013-10-21 23:47:38 | 読むとためになるもの

 


 


僕はこの動画が大好きです。

Silent Scream

http://youtu.be/6KUwib-rGis




動物の解放から転載

魚は痛みを感じるか

Day:2013.10.20 12:28
Cat:

魚には目はありますが、まばたきをせず、無表情です。
ずっと水の中にいて、わたしたちは、触れ合うことができません。
釣りなどで触ることはありますが、私たちが魚に触ることは魚にダメージを与えてしまいます。
哺乳類や鳥類のように、声をだしません。

鶏を、一気に水の中にぶち込んで、おぼれ死にさせるという、と殺方法は、たとえ効率的であったとしても認められることはないでしょうが、魚を海底から引き上げ、急激な水圧の変化に浮き袋が膨張し、口や肛門から内臓がはみ出た状態で漁船の甲板にたたきつけ、大気中でゆっくり窒息死させるという方法が容認されているのは、魚が何を考えているか分からず、私たちと見た目、生活スタイルが何もかも違っているからかもしれません。


「魚は痛みを感じるか?」という本では、生物学者である作者が、科学的に魚が痛みを感じているのかどうかを検証していきます。

魚は痛みを感じるか?
紀伊國屋書店


まず、魚は侵害受容(ダメージや損傷の検知)を持っているのか、が検証されます。ヒトは皮膚表面の侵害受容体が刺激を受けると、電気信号が発せられ、それに体は反応します。熱いヤカンのふたを持ち、反射反応であわてて手を放すのが、それです。
麻酔をかけたマスの神経組織を切り取り研究することで、魚が侵害受容を持っていることが、まずあきらかになります。

しかし、侵害受容が無意識の認知であるのに対して、「痛み」は意識的で情動的な感覚です。侵害受容があると分かっても、それが魚が痛みを感じ苦しんでいるという証拠にはなりません。

そこでつぎに、侵害受容(ダメージや損傷)があった時に魚がどのような行動をするかどうかが観察されていきます。

作者はまず、マスに麻酔をかけ、湿らせたクッションの上に置き、マスの口にハチの毒や酢を注射し、そのあとで水槽に戻し、行動を観察する実験を行います。水槽の中で麻酔から覚めたマスは、エラの開閉速度が上昇し、時折突進するような動きや、口を水槽のガラスや砂利にこすりつけるような仕草が見られ、また食欲も低下させています。
つぎに、水槽の中にレゴブロックの塔を入れ、毒を口に注射されたマスがどのような反応を示すか調べる実験がおこなわています。ここでは、毒を注射されていないマスはレゴブロックの塔を警戒し近づくのを避けたのに対し、注射されたマスのほうはレゴブロックの塔のかなり近くまで泳いでいき、それに注意を払う様子が見えなかったことが観察されています。この毒を注射されたマスに痛みをやわらげるモルヒネを投与すると、マスは注意力を取り戻し、警戒心を持ち、レゴブロックの塔を回避します。
これは私たちが頭痛がするとき、勉強に集中することができなくなることと似通っています。

しかしこれだけでは、魚が痛みを感じ苦しんでいるというには不十分です。痛みを認知し反応しているという証拠にはなっても、その痛みで「苦しんでいる」という証拠には足りないからです。
魚には苦しむ能力があるのか?個人的で主観的な感情があるのか?作者は続いて、魚の「意識」についてさまざまな角度から検証していきます。

まず、魚の脳に、ヒトの大脳辺縁系(情動をつかさどる器官)に相当する部分があることが明らかになります。
次に、魚が迷路の中でどのように餌を探すかが観察され、魚に空間認知能力があることも分かってきます。
ハゼは岩場の水たまりから水たまりへ飛び跳ねて移動して、海へ戻ります(水の中から隣の水たまりを見ることはできないのに!)。これはあらかじめ満潮時に地形を覚えていたからだと考えられています。
またシクリッドという魚に「誰が一番強いのか」を判断できるのかどうかの観察も行われています。水槽に2匹のシクリッドを入れ、その闘争風景を別のシクリッドに観察させます。2匹ずつの闘争を見て、AよりBの方が強い、BよりCの方が強い、CよりDの方が強い、DよりEの方が強い、という場合に、シクリッドはEよりAの方が強いという判断をすることができることが、この観察で明らかになっています。


シクリッド

そのほか、2/3の区間は電撃が流れず、1/3の区間は電撃が流れる水槽で一匹だけマスを飼育する実験も行われています。この実験でマスは当然電撃の流れる区間を避けて泳ぎますが、電撃の流れる区間の向こう側に仲間のマスの入った水槽を配置したとき、このマスは、電撃の流れる部分にとどまり、仲間のそばにいることを選択しています。


そしてこの本の中で一番心を打たれた部分、ウツボとハタの狩りのことが書かれています。
ハタは追いかけていた獲物がさんご礁の入り組んだ迷路に入り込んでしまったとき、ウツボを呼びにいくそうです。ウツボのいる穴の前まで行って頭を上下になんども激しく振ります。『狩りに行こう』の合図です。ウツボはそれを無視することもありますが、たいてい穴の中から出てきます。ハタはウツボを先導して、獲物を見失った、さんご礁の前まで連れて行きます。そして進入すべき穴に口をつっこみ『ここだ』とウツボに指し示します。するとウツボは穴に入り込んで獲物を探しはじめます。ウツボがうまく穴から獲物を追い出してハタが食事にありつくこともありますが、ウツボが穴の中で獲物を独り占めすることもあるそうです。『今回は君に』『今回はこっちのもの』と、トータルでそれぞれ2回に1回食事にありつけるという体制になっているようです。


ハタ

このようにして魚の「意識」に迫り、最終的に生物学者である作者は
「魚は痛みを感じる能力がないとする根拠は見つかっていないが、魚が痛みを感じて苦しむという証拠は豊富にある。」
と言っています。
この本ではありませんが、動物実験全廃論を唱え、その活動に全力をそそいだハンス・リューシュの本には、
『トロール船に配偶者を捕まえられたメカジキは、何日もそのトロール船をおいかけ、いよいよ助けられないとわかると浜辺に飛び上がって死んでしまう。』ことが書かれています。

そのほか、以下のような見解もあります。
・英国政府への科学的な助言者であるDonald Broom博士は
「科学文献は全く明らかです。 解剖学的に、心理学的に、生物学的に、魚の苦痛のシステムは事実上、鳥や哺乳類と同一です。」
・カナダGuelph大学の調査チームは、魚の痛みや知性の科学文献を調査し、魚は痛みを感じる、という結論に至った。
・イギリスのエジンバラ大学と英国の政府機関Roslin Instituteの科学者達の調査によると魚は肉体的にも心理的にも、哺乳類と同じ方法で痛みを明確に経験しているとの結論に至った。

そもそも自意識の研究は難しく、人間の脳でもまだ分かっていません。私たちには隣の人がなにを考えているのか、推測するしかありません。推測するなら釣られてジタバタしている魚をみて「苦しみもがいている」と考えるのは正しいことではないでしょうか。
CIOMS(国際医科学団体協議会)も動物実験の指針の中で、脊椎動物は人と同じで痛みを感じるといっている。魚は脊椎動物です。

しかし無脊椎動物であっても、痛みを感じるとする研究者もいます。
新鮮さを保つために生きたまま市場に出され互いに積み重ねられるエビやカニ(無脊椎動物)。オクスフォード大学ベーカー博士「甲殻類の感覚器官は高度に発達しており、神経系は複雑である」「ロブスターは痛みを感じる」とし、「一般的なロブスターの殺し方『熱湯につける』は2分に及ぶ痛みを引き起こしうる」 といっています。

『魚は痛みを感じるか』の作者も、魚だけではなく、無脊椎動物であるエビや、頭足類(タコやイカ)、ヤドカリについても書いています。
エビでは、触覚に刺激物を塗り、エビがどのような反応をするかの実験が紹介されています。刺激物を塗られたエビは、尾部を打つ反射反応のほかに、なんども触覚をつくろう仕草をみせ、水槽の壁に触覚をこすりつける場合もあったそうです。研究者はこのつくろったりこすりつけたりする反応は反射反応ではなく、長く続く痛みをエビが経験しているからだ、と主張しています。
ヤドカリが殻にいるときに電撃を与えられたらどうなるかという実験も書かれています。電撃を与えられたヤドカリはすぐに殻から出てきますが、気に入った殻にいるときは、その殻にいることで電撃を受けても、長く殻の中にとどまろうとすることも紹介されています。
また、ヤドカリの戦闘についても書かれています。ヤドカリはより優れた殻を手に入れるためにヤドカリ同士で戦うそうです。そして戦った相手の闘争能力を分析、統合し、相手の情報を数週間にわたって記憶する、と書かれています。

私たちには、魚の言葉はわかりません。
しかし、魚は振動による音を発しており、警告や苛立ちの「叫び声」が研究者によって区別されています。




魚の置かれている状況の問題点


●全長100kmにも及ぶ縄に釣り針のついた枝縄を何千本もつけ、海中に投ずるマグロはえなわ漁。
この漁では、針にかかったマグロは縄が引き上げられるまでの10時間ほどを針から逃れようとして体力を消耗します。そして漁船の甲板に引き上げられてもなお生きていますが、大気中でゆっくり窒息するままに放置されます。
●網を海底に沈め、船で引っぱり魚を水揚げする底引き網漁。網が引き上げられると急激に水圧が下がり、かかった魚の浮き袋は膨張し、内蔵が飛び出し目はゆがみ、そして漁船の甲板にたたきつけられ、そこでゆっくり窒息死する。

水族館
サメや、行動圏の広い、長距離の回遊を行う魚を水族館で飼うと、その魚はステレオタイプ化した行動を起こす。その魚のフラストレーションの表現であるこの行動で、壁などへの接触が繰り返されると身体が傷つく。

釣り
(釣り人口日本940万人)
人の手で触る
魚の体温と、人の手の温度は10~20度もの差があります。魚にとって乾いた温かい手で触られることは、火傷するのと同じようなものです。濡れた冷たい手で触らなければ、魚は弱ってしまいます
キャッチアンドリリース
キャッチアンドリリースは魚にやさしそうなイメージですが、実際は口を大きく傷つけられ、水に戻された後も餌をとることなどに支障をきたしたり、その傷がもとで死んでしまうこともあります。
釣った魚を生きたままクーラーボックスの中へ入れ、緩慢な死を経験させること。
どうしても釣りをするなら、注意点
・乾いた手ではなくぬれた手で魚を扱うこと。
・釣り針の「返し」を取り除いておくこと。
・もし魚の口が細胞組織に大きなダメージを与えているなら、その魚はリリースせず、と殺すべき
・人道的なと殺方法について。捕獲された魚の頭をスパイクで砕き、迅速に息の根をとめ、瞬間的に神経系の機能を停止させる。

自宅での観賞魚
適切な飼育方法をしらずに観賞用として魚を飼い、弱らせ死なせること。

養殖
(日本の漁業の20%が養殖 マダイ・ブリ・ヒラメ・フグ・アジなど。イワシやさんまマグロなどの回遊魚の養殖はむずかしいといわれています)
●野生のタラは、海底付近で海草やさまざまな物体を口で操って多くの時間を過ごします、養殖されるタラには、そのような機会が無いので、タラは仕切りの魚網をかじってこの欲求を満たそうとします。
(日本にはタラ(回遊魚)の養殖はないようだが、ノルウェーではタラの養殖に成功している)
●養殖で過密飼育される魚の養殖場では魚はストレスを感じ病気になりやすいので、たくさんの水産用医薬品が投げ入れられます。
●養殖されるフグは過密飼育のストレスからお互いをかみ合ってしますので、抜歯が行われます。抜歯されたフグはしばらく食欲をなくします。(1年に2回。暴れないよう麻痺薬が使われるが、鎮静剤ではなく、麻痺させるだけ。2年で出荷)






魚のための法律

日本
魚に限定したものは日本にはない。しかし動物愛護管理法の対象動物である。
基本原則の部分は魚にも適用される。
動物愛護管理法の基本原則
「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。」

海外
OIE(世界動物保健機関)は水生動物衛生規約のなかで「養殖魚の安楽死の方法」を記しています。
EUで2007年のリスボン条約で
「魚は感覚ある生物だから、各国は魚の福祉を最大限考慮しなければならない。」と決議
2010年のEUの報告書では
・詰め込みすぎの削減
養殖魚は海にある込み合った水槽かオリによく入れられているので、ヒレ(ヒレにも侵害受容がある)を傷つけストレスになります。報告書では、この状況を改善するよう求めています。
・人道的と殺 
・輸送時間の制限
輸送で生じるストレスが認められる場合は、輸送時間の制限を推奨されています。
キャッチ&リリースの法規制
一定以上の大きさの魚を水に戻すことを論理的な理由からドイツ、スイスでは禁止。その場合は、釣った後、と殺しなければなりません。





日本人の魚への意識
日本は古来、漁業がさかんで、魚はあくまで資源という考えが一般的のように思います。
鯨やイルカですら、食料であるという考えがある。
ウミガメやカメやイルカなど、漁の対象ではない生き物まで一気にことごとく捕獲してしまう刺し網漁。国際的に問題になっており禁止の声が高まっていたが、日本はやめようとしませんでした。1992年に国連が流し網漁公海で禁止した時も、この決議に日本と韓国の2カ国が反対票を投じています。

刺し網漁(流し網漁) 
かすみ網のようなもので、網に絡まったり挟まったりした生き物をすべて捕らえます。肺呼吸であるカメやイルカは溺死します。


流し網漁


『魚は痛みをかんじるか』の作者は、魚が痛みを感じると私たちが認めることで、魚に対する私たちの考え方は変わり、魚に対する態度も変わってくるかもしれない。と言っています。

『1980年代まで、ヒトの赤ちゃんの手術は麻痺剤のみで、麻酔が使われないのが普通だった。確固たる証拠もなく赤ん坊の神経組織は未発達だとされてきたのである。大声で泣きわめくという事実に真っ向から反する考え方で、不思議な科学の伝説としかいいようがない。誤りが認められたのはつい最近、痛みの治療をしない赤ん坊は、手術後の回復に時間がかかることが、研究で明らかになってきたからである』
(『ゾウがすすり泣くとき』より抜粋)

魚の権利運動を行っている団体もあります


写真は、海洋生物を守る団体のサイトより 



魚は痛みを感じるか












2013/10/21




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