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裸の抗議活動家集団「FEMEN」 東日本大震災と福島原発事故から1周年を迎え、脱原発と福島の人たちへ

2012-05-25 01:26:22 | ~この世界のために~
ウクライナ女性活動団体が裸になる理由

ヨーロッパを中心に、トップレスでの抗議活動を続けるウクライナの女性社会活動家グループ、「FEMEN」。
そんな彼女たちが3月、東日本大震災と福島原発事故から1周年を迎えるにあたり、脱原発と福島の人たちへの激励の意味を込めた抗議活動をするという情報を聞きつけた取材班は、ウクライナの首都・キエフへと飛んだ。


◆親子でトップレス抗議するメンバーも

 取材日当日、彼女たちの“アジト”を訪れると、複数のメンバーたちがすでにプロテストで掲げるプラカードを作っていた。

 6人の若い女性がラフな格好で集う小部屋には、女性の臭いがムンムンと充満しており、まるで女子寮にでも忍び込んだかのようだ。
そんな異様な雰囲気のもと、取材班は自らの邪念を追い払いながらインタビューを開始した。



「ウクライナでは外貨獲得のために売春産業、セックスツーリズムが黙認されている。そのせいで、この国の女性には、どこに行っても売春婦のイメージが付きまとう。そんな自分たちの社会的地位を回復するため、今のスタイルのプロテストを’08年に数人で始めたのがきっかけ。今では世界中に、300人以上のメンバーがいるわ」

 ところで彼女たちはなぜ、裸になるのだろうか。主要メンバーのサシャ(23歳)はこう答えた。

「私たちは裸だとは思っていない。プロテスト用のコスチュームに着替えていると思ってるだけ。経済力も政治力もない私たちが社会を変えるには、人々の関心を集めなければならない。そのための最高のコスチュームがこれなの。恥ずかしくなんかないわ、こんなことをしなくてはいけない歪んだ世の中のほうがよっぽど恥ずかしい」



 一方で、初めてトップレスでプロテストに参加するという新メンバーのリタ(20歳)は、どこか緊張した面持ちで、こう語った。

「私はやっぱりちょっと恥ずかしいけど……。でも女として、何か社会に影響を与えることがしたいってずっと思っていたから。そんなとき、FEMENを見て、これだって思ったの。親はなんて言ってるかって? まだ内緒……」

 娘の裸が世界中に晒される親の心中は、確かに穏やかではないだろう。
しかし、FEMEN代表イナによるとほとんどのメンバーは、家族から活動を認めてもらっているという。

「母は最初は泣いてたわ。もともと、私は政府機関の広報として働いていたけど、この活動のせいでクビになっちゃったからね。でも今は理解してくれて、活動を支えてくれている。あるメンバーの母親なんて、今じゃ一緒にトップレスでプロテストに参加してる。62歳なんだけどね」

 一方で、一番厄介なのはボーイフレンドだとか。

「あるメンバーの彼氏から『俺の女を返せ!』と、鬼気迫る声で電話がかかってきたこともあったわね(笑)」(サシャ)






◆各国の対応の違いで、“やましさ”が見える

 FEMENはこれまで、性の商業化のほか、格差の是正、女性虐待、動物愛護から原発問題と、さまざまなトピックを対象に抗議活動を行ってきた。
しかし、有名になった今、抗議にも大きな危険が伴うようになった。
ロシア大統領選の投票所での反プーチントップレス抗議では3人のメンバーが逮捕・勾留された。
この日、ロシア当局によって5日間勾留され、強制退去になったイリーナ(19歳)が帰国したばかり。
取材時も、モスクワやイスタンブールで、複数のメンバーが囚われの身となっていた。

 また、彼女たちはこれまでウクライナ国内での活動では、長期間の勾留や起訴を免れていたが、最近では流れも変わりつつある。
1月末にキエフのインド大使館で行った抗議活動で、インド側が刑事告訴をし、メンバーの事情聴取が何度も行われているのだ。
加えてウクライナ現政権は2年前に誕生した親露のヤヌコビッチ大統領だ。当局はこれらを機にFEMENを撲滅しようとする企みがあると現地メディアは報じている。

 彼女たちの美しい体には、警察に取り押さえられる際の生傷も絶えない。
それでも彼女たちは、命知らずとも見える活動を続けているのだ。
イナは活動を続けるうち、あることに気づいたという。

「トップレスでのプロテストで、その国の民主政治や表現の自由の成熟度がわかる。例えば罪状。ロシアでは『反フーリガン法』での起訴、トルコは逮捕の末、翌日に強制退去。スイスでは、数時間の拘束のみ。イタリアは現場から排除されただけでお咎めナシ。私たちをどういうふうに弾圧するかによって、その国の“やましさ”が見えてくる。それを世界に知らしめることも重要なの」(FEMEN代表イナ)






◆突然、裸になって道路を封鎖した!

 FEMEN代表イナがインタビューに応じる間、ほかのメンバーは次々と上着を脱ぎ始めた。
にわかに彼女たちの雪のような白い肌が、目の前で露わになった。
目のやり場に困る取材班をよそに、ボディペイント担当のサシャが、彼女たちの乳房に絵筆で赤いインクを塗っていく。
どうやら日の丸ということらしい。
ときおり「くすぐったい!」と黄色い声が上がるなか、「脱原発」「FUKUSHIMA」の文字が彼女たちの胸に刻まれていった。

 全員がペイントを終えると、彼女たちはコートだけを羽織り、颯爽と外へと繰り出した。
午後1時すぎ、いよいよ街頭で抗議活動をするというのだ。


 服を着ていても、若い美女が6人も束になって歩いていれば嫌でも目立つ。
路上からは「おい、FEMENがいるぞ!」という野次馬や、通りすがりの男たちの冷やかしの声が飛び交った。
歩き続けること約10分、目的地の賑やかな幹線道路へと差し掛かると、突然、彼女たちはその場でコートを脱ぎ捨て、一斉に車道へと飛び出して行った!


 車道で一列になって「反原発」や「NO NUKES」と書かれたプラカードを高らかに掲げる彼女たち。
突然の美女たちの“ご開帳”に、行き手を阻まれた車やバスの運転手も、クラクションでエールを送る。
それでも彼女たちの真剣な眼差しは揺らぐことなく、「WE ARE FEMEN!」と連呼し続ける。
その表情は、あどけなさも浮かべていた先ほどまでとはうって変わって、闘士の顔だった。
こうして彼女たちは、福島への祈りを込めながら、氷点下3℃の寒空の下、約5分間にわたり仁王立ちになって絶叫し、道行く人々を釘付けにしたのだった。



 帰り道、6人のなかで最年長のエブジェニア(24歳)は語った。

「チェルノブイリ事故の時、私たちは生まれてなかった。でも、友人や知人には当時の被曝の後遺症に苦しんでいる人や故郷を失ったままの人がたくさんいる。日本は遠い国だけど、去年の原発事故に関しては特別な思いを抱いている。次は絶対、日本に行ってプロテストをやりたい!」

 イナもこう続けた。

「今、一番メンバーになってほしいのは日本人女性! アジアにはまだ行ったことがないの。近いうちに必ず日本に行くから、興味のある人はフェイスブックのアカウントからメールをください!」


 果たして彼女たちが日本に上陸する日は来るのか。今後の活動から目が離せない。
 <取材・文/奥窪優木 撮影/バーナード・コン>

日刊SPA! 2012.05.23
http://nikkan-spa.jp/188545



Femen 動物園は死体置き場だと抗議する

http://youtu.be/7VC7hdB4or8

動物園は場とおなじだ。



活動家一丁あがり!―社会にモノ言うはじめの一歩 (NHK出版新書 343)
NHK出版




  





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2012/5/25


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