ごみ溜めのような都会ではなかなか見ることができませんが、燕の巣を見つけました。
まだ目も見えないだろう可愛いヒナたちが、口をぱくぱくさせてお母さんの帰りを待っています。
赤ちゃんを育てた女の人ならもちろん僕なんかよりずっとよく分かっていると思います。
純粋に生きようとする生命力、そして、それに対する無償の愛。
でも
僕はツバメの巣のスープが飲みたい。
鳥肉を食べたい。
だから
これがほんとの一石二鳥ですか?
燕の巣を取り、ヒナを取り、そのまま熱湯に放り込みます。
ヒナがピーピーと泣き叫びます。
ヒナたちの食べ物をたくさん集めて帰ってきた母が絶望します。
でも食べたいから。
感謝してるから。
いただきますもきちんと言うよ?
ああ、なんて残酷なんだ。
食べたい。
そんな欲求ぐらい我慢しようと思えばいくらでも我慢できたのに。
なんだかんだと言い訳をつけていた自分。
甘かった自分。
あの泣き叫ぶヒナたちの姿と声が忘れられない。
やっと気づくことができた。
感謝ではない。
申し訳なくて、だけどもう取り返しがつかない。
奪ってしまった鳥の子供たちの命は二度と戻ることはない。
気づかせてくれてありがとう、なんてこれっぽっちも思えない。
殺す前に、気づくべきだった。
やめられる自分の意志に、気づくべきだった。
自分の強さに気づくべきだった。
2014/6/8