日々の寝言~Daily Nonsense~

中山可穂「天使の骨」

朝日新聞の書評だったろうか?
それともAmazonのおすすめ?

きっかけを忘れてしまったのだが、
中山可穂さんの本を2冊読んだ。

「猫背の王子」と「天使の骨」

中山さんのデビュー作と、
それに続く第2作らしい。

主人公は、たぐいまれな少年美を持ち、
それを活かして劇団を主宰する「王寺ミチル」。

彼女をめぐる劇団の人々の愛憎が第一作。

そして、劇団が潰れて長い旅に出た
ミチルが、ついに自分を取り戻すのが第二作。

こう書くと、ありきたりな感じだが、
なかなか読ませる。

まず何よりも、ヒリヒリするような
劇団の様子の記述が、
少しでも小劇場の雰囲気を知っている者には
たまらない。

「ガラスの仮面」ではないが、
狭い小屋で味わう濃密な劇空間は
ほんとうにしびれるものだった。

夢の遊眠社、劇団綺畸、などを
リアルタイムで見ることができたのは、
今から思うととても幸せ。

久しぶりに、あの雰囲気を
思い出させてくれた。

そして、文章が上手い。
決して難しい文でも、美文でもない。
短い文章が並んでいる。

しかし、さすがに劇団経験者だけあって?
文章にリズムがある。
人を乗せてゆくような、
アジっぽい言葉遣いもたまらない。

文章的には、処女作のほうが上だと思う。
「天使の骨」には、どことなく妥協というか、
苦しんだあげくの微妙な崩れが見られる。

ラストもちょっと安易。

でも、そうした欠点を補って余りある
素敵な作品だ。

繰り返して読みたい。
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