日々の寝言~Daily Nonsense~

瑞原明奈「麻雀つれづれ日記 切った牌はもどらない」

久しぶりに、本について書く。

魚谷侑未さんのブログを
偶然に見つけたことがきっかけで、
Mリーグを見始めたのだが、
魚谷さんがフェニックスを
退団されてしまったので、
サクラナイツの岡田紗佳さんを経て、
今はパイレーツの瑞原明奈さんの
ゲームをよく見ている。

ちなみに、麻雀は、
年に1回くらい家族で愉しむレベルで、
これは自慢だが、
だいぶ前に九連宝燈を和がった
ことがある(まだ死んではいない)。

そういうわけで、
Kindle Unlimited で読める
> 瑞原明奈のロジカル麻雀入門
> (マイナビ麻雀BOOKS)
をまず読んでみたのだが、
本編よりも、麻雀プロなるまでの
経緯を書いたコラムがおもしろかった。

テレビで麻雀を見て興味を持ち、
主婦から麻雀プロになって、
Mリーガーになって、
優勝して、MVP まで
取ってしまうという
驚きの人生・・・

というわけで、もう少し
いろいろ知りたくなって、
「麻雀つれづれ日記」
も買って読んだ。

全体の目次は、
1章 麻雀と人生
2章 U-NEXT Pirates という名の船
3章 麻雀プロとして、母として
という構成で、以下、
順番に感想を書いてみたい。

1章 麻雀と人生

この章の内容は、
「ロジカル麻雀」のコラムと
重なることも多いのだが、
そこにあまり書かれていないこと
としては、自分の性格や考え方
の自己分析が面白かった。

「わたしは対自分という
観点ではポジティブで、
対他人という観点では
ネガティブな人間です。」
というあたりの記述は、
読んでいてうなづけるというか
とても親近感を感じた。

他人に対したとき、
冷静に、ロジカルに考えれば、
自分より優れた人は
たくさんいるはずだし、
自分に興味を持つような人は
それほど多くは無いはずだし、
やみくもには信用できないはずなので、
自己肯定的だが、
他人といるときの
自己評価は低いというのは、
ロジカルな人間には
ありがちだなことではないか
と思う。

私の知り合いも、
こういう人が結構多い。

瑞原さんは大学は
早稲田の国際教養学部?
で、入試的には文系なのだが、
「ロジカル麻雀」というように
考え方はかなり理系的だと思う。

他にも、理系の人間としては、
「甘えるのが苦手」
「人間が嫌いなのに人について興味津々」
「麻雀におけるいわゆる流れも、
運も、神様の存在も、あるのかどうかは
わからない(中略)わからないものを
思考の軸にはしませんが、
いるかもしれないので
わたしはいつも祈っています」
「コスパ重視のずぼら」
などなど、うなづける点が
けっこうあった。

先日、YouTube で
渋川難波さんとコラボで
牌譜検討していたのを見たのだが、
そのときの話し方も、
サバサバと言いたいことを言う
理系女子っぽい感じを受けた。

こうした言葉の端々に、
麻雀に対する愛が
感じられるのも良い。

瑞原さんや魚谷さんに
興味を持った理由も、
強いということもあるが、
発言や普段の所作に
麻雀がとてもお好きな感じが
伝わってきて、よく
勉強されているからだと思う。

好きなものに打ち込める人は
美しい。

そうして、麻雀を愛して、
未達に終わった手を伏せる「切なさ」
を愛して、「どうしようもないことについて
諦める力」が身についたという。

「諦めて、受け入れて、
そこからの最善について考える。
そういう思考プロセスが
身につきました。」

そういう確率的な要素が強い
ゲームをしたり、Mリーガー
として世の中からのコメントに
さらされたりする中での
「メンタルの保ち方」についても
感心した。

「周りから評価されたいという願望」
について「余計な思考が冷静な
選択の邪魔をしてしまうならば
ないほうがマシ」
「「うまいと思われたい」
という感情はほとんありません」

「自分のことを過大評価も
過小評価もせずに、
できるだけ正確に理解できるのは
自分だけだと考えています」
というのもなかなか言えないことだ。

実際には、過大評価や
過小評価しがちだが、でも
自分のことを一番知っているのは
自分だ、というのはそのとおり。

このあたりは、
「俯瞰する能力」が
活かされていると思う。

「緊張しないために」の節の
「なりきり作戦」
「爪痕を残そうと考えない」
なども含めて、
次のピアノの発表会のときに
参考にさせていただきたい。

第1章だけで
ずいぶん長くなってしまった
ので後の章は省略するが、
やはり、所属したチームが、
朝倉さん、石橋さん、
小林剛さんのいた
パイレーツだったことが、
とても幸運なことだったと思う。

もちろん、他のチームだって、
多井さん、堀さん、園田さん、
寿人さん、等々いらっしゃるので
関係なかったかもしれないが、
「ONE PIECE(ワンピース)」からも
わかるように、「海賊」という
名称が、チーム内の独立と結束を
両方うまく高めている感じがする。

そんな海賊船での経験は
波乱万丈。

上がりを見逃してしまった
「麻雀プロ人生最悪の日」
2019-20シーズンの
逆転優勝した
「麻雀プロ人生最高の日」
レギュラーシーズン敗退の
2020-21 シーズン
沢崎さんと最後まで争って
MVP をもぎとったものの、
レギュレーションでの
入れ替えとなった 2021-22
シーズン、などなどを
一緒に悲しんだり
喜んだりできる。

他にも、牌譜検討もあるし、
出産の危機と喜び、
その後の仕事する母としての
葛藤なども描かれているという、
盛りだくさん、
至れり尽くせりな内容で、
とても満足できた。

文章も読みやすく、
言語化する能力の高さは、
小平奈緒さんに
近い感じもする。

パイレーツは、昨シーズンの優勝に続き、
今シーズンも、セミファイナル出場は
確実な状況で、今後のさらなるご活躍を
楽しみにしています。
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