今年は映画をほとんど見ていない
(飛行機の中で少し見ただけ)
ということに気づいたので、
ちょっと映画を見てきた。
いろいろ面白そうな映画をやっているが、
あえて選んだのは「ブレードランナー 2048」。
20世紀の SF映画の最高傑作のひとつとされる
「ブレードランナー」の続編。
映画サイトなどでのレビュー評価は
それなりに高かったのだが、
残念ながら、個人的にはちょっと合わなかった。
以下、激しくネタバレありです。
* * *
まず、映像の美しさは評価したい。
どこかで見たような絵、とか、
前作を全く超えていない、というのはあるが、
でも、きれいだなぁと思いながら見ていた。
映画自体のテンポも、さ
すがにちょっと長過ぎると思うが、
タルコフスキーの映画を視ている感覚に少し近くて、
個人的には嫌いではない。
ただ、全体のストーリーが、
まとめきれずに完全に破たんしていると思う。
特に、最後のほうのアクションシーンは全く意味不明で、
途中で予算が無くなったのか?
などと思いながら眺めていた。
そもそも、レプリカントのレイチェルが、
デッカードとの間に子供を産んでいて、
その、行き別れた父と娘の再会の物語、
という設定自体がかなり厳しいと思う。
劇中でも言われていたように、
増産の手段として考えられた、
というのはあり無いわけではないが、
レプリカントと人間の本質的な違いが
「作られるか」「産まれる」かだ、
と言われてしまうと、ちょっと・・・
視ていて思ったのは、レプリカントというのは、
たぶん、ある種のクローン人間のようなものでもあり、
「わたしを離さないで」にもつながっている、ということ。
だとすれば、そっちのほうを掘り下げて、
たとえば(奴隷としての)不死を与えられている
クローン人間が、有限の命を願う、
という方向に振るというのはあったかもしれない。
実際、レプリカントではないが、癒し AI の
女の子(この人はすごくかわいかった)が
それを望んでいたし、ラストはそれを少し示唆する。
デッカード-娘のラインと並行して、
捜査官 K のラインが走っているのだが、
この二つのラインがほとんど絡まない。
たとえば、癒し AI の女の子を中心にしたら、
それはそれで面白くなりそうな感じもするのだが、
ウィレス社の手先として働いた後、
あまりにあっさりと死んでしまう。
その他にも、K の埋め込まれた記憶、改ざんされた記憶、
とか、おもしろそうなテーマの萌芽がいくつかあるのだが、
どれも中途半端に投げ出されている感じ。
結局のところ、デッカードのまぶたの娘、みたいな話に、
初代レプリカント 対邪悪な人間(に操られるレプリカント)の戦い、
が絡む構成になってしまっている。
そして、それらも中途半端だ。
ラストは「父子の愛」ということなのか?
それとも「知性をもった存在の孤独」なのか?
ハリソン・フォードを出す以上、
重要な役にしないわけには行かなかったのだろうが、
写真や記録動画の中に出る、くらいでも良かったのでは?
映像が美しいし、お金もかかっているだろうし、
もっと面白くなりそうな種はあったし、
視ていていろいろ残念でならない映画だった。
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