将棋棋聖戦の第2局は、佐藤棋聖が勝った。
これで棋聖の2連勝で、すでにして防衛に王手。
名人戦の第6局もそうだったが、本局も、
佐藤棋聖が、終盤での相手の緩手を鋭く咎めて、
一気に形勢を傾かせた。
いつものように、羽生、森内、佐藤の強さを
印象づける結果だ。
この強さは、単に個人的なものなのか、
それとも世代的なもの、つまり、
彼らの世代が最強になるように、
将棋というゲームに大きな変化が起きてしまったのか?
が少し気になる。
将棋の情報化が急激に進んだのは、
島、森下さんの世代あたりからだろう。
データベースが整理され、
定跡研究がかつてないほどの速度で進んだ。
羽生さんの言うとおり、
高速道路が整備されたのだ。
そういう道路を、自分で開拓して作った側と、
人が作った道路を走って景色を眺めた側とで、
経験、力のつきかたが全然違うのは自然だろう。
未知の世界をワクワクしながら開拓するのと、
既に誰かが開拓してしまったものを勉強するのとでは、
モチベーションにも、天と地ほどの違いがあるはずだ。
羽生さんの世代は、島研で数多くの戦型を開拓してきた。
森下さんには矢倉があり、
藤井さんには四間飛車があった。
渡辺竜王の世代になると、
それでもまだ、居飛車穴熊や中座飛車があったが、
しかし、もうおいしいところは、ほとんど
食べ尽くされてしまったのではないか?
今から棋士になる人には、
自分で最初に考えられるところは、
細かい重箱の隅しか残っていないのではないのか?
莫大な開拓済みの定跡を前にして、勉強する気が失せる。
やる気を失わないで勉強したとしても、
その定跡を自ら開拓してきた人ほどの地力はつかないから、
腕力戦に持ちこまれると勝てない。
そういう状況だとしたら、かなり根が深い。
少なくとも、単に、奨励会の制度が悪い、
というような問題では無く、
ゲームとしての将棋の終焉は、
思ったよりも早くきてしまうのかもしれない。
情報があふれる状況で、
どうやって勝負としての将棋の地力を
つけてゆくのか?
今の状況があたりまえになる
次の世代になれば、解決するのかもしれないが・・・
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