軍兵六農園☆ぐんべいろくのうえん

いのちかおるひとときを ともに。

『河合の箒』のこと。

2015-10-14 | 日々の暮らし
連休中に、園主とドキュメント映画を観て参りました。

大子町の隣りに位置する常陸太田市の最後の河合箒職人横山ご夫妻の手仕事を、地元の『種継人の会』が企画した『河合の箒』という映画です。
元々種継人の会のメンバーが「常陸太田市に昔から伝わる作物品種の種子を探していて、箒の原料となるホウキモロコシと出会ったのが始まり(パンフレットより)」とのことで、ホウキモロコシの播種、刈り取り、羽釜で刈り取った草を煮だして乾燥させてという箒作りの工程などを紹介しています。

取材途中で、最後の職人であるご主人がご病気で箒を作れなくなってしまい
「後継者が絶えれば、この手仕事を継承するものがいなくなる」
と、危機感を持った種継人のメンバーの布施さん・北山さんが、75歳で初めて箒作りに挑戦されるという(ご主人の仕事を横目で観られていたであろう)奥様の指導の下、箒作りの作業場に野良仕事の後に通い奮闘しながら、立派な箒を仕上げてゆきます。

最盛期は50件ほどの箒農家がいたこと、背中に箒を背負って行商に出て20本ぐらい直ぐ売れてしまったことなど、販売担当だった奥様の宮子さんが、朴訥且つあったかい茨城弁で語られてゆきます。
目まぐるしい時代の流れを感じながらも、ひたむきに守り継がれてきた箒1本1本に、とても、深く豊かな歴史が内在していることを知ると、その時代時代の人々の暮らしが箒を通じて蘇ってくるような。
自然と当時の暮らしに想いを馳せていました。


このメンバーの布施さんや北山さんは農家仲間さんでもあり、時々お話する方達なのですが、まだ、私達が就農間もない頃、先輩である布施さんから
「いくら畑が忙しくても、地元の人に対する時間を3割開けた方がいい」とアドバイスをもらったことがあり、その言葉が思い出されました。
布施さん北山さん共にかなり多忙な百姓仕事の中、時間を割き、まず、自ら学び実践しながら、箒作りを体得した後、他メンバーの皆さんと共に詳細に作業を記録し、ワークショップという形で興味を持たれた方達と作りながら裾野を拡げていっているようです。
ワークショップで小サイズの箒を作るのも楽しそうですね。

それにしても、とても良質のドキュメンタリーでした。
地方都市で御前様のように仕事帰りが続いていた時期があったけれど、心身共に疲労していた時に、深夜番組でこのような映画が流れてきたら、浄化される気持ちになっただろうと思いながら観ていました。
田舎に暮らす私達も、都会で暮らす方達も、魂レベルで求めるものは、さほど変わらないと思います。
観ていると、心の傍の出来事だと感じられるのではないでしょうか。

静かに確かに自然と人間が繋がり続ける時間が種一粒に凝縮されていること、これは畑に関わっていると年々実感が増してくるように思います。
種が教えてくれる時の長さに想いを馳せると、私達人間への愛おしさのようなものも湧いてきます。


上映先が拡がることを願う作品でした。

◇2013/11/08「河合の箒(ほうき)」横山さんご夫妻の動画⇒
https://www.youtube.com/watch?v=YEVV0Kz-eB8

◇種継人の会H.P⇒
http://tanetsugibito.com/574/




追記・・
NHKあさイチで「河合の箒」が紹介されたとのことで、アクセス数がケタ違いになっていました。ありゃりゃ。
発作的に残した駄文でしたので、読みにくかった数か所を書き直しました。
お読みいただいた皆様、ありがとうございます。

(2017.6.23/エリンギ)