この本は私が一番大好きなお話です。
ガリレオシリーズとして福山雅治さんがドラマに映画もされました。
しかーし!!
映画では省略された部分がやはり多く…
やっぱり福山雅治メインでしたが、
小説は違うのです。
↓私の個人的な感想です。ネタバレ含む
主人公は無口で生きる事に疲れている教師。毎日毎日同じ事の繰り返し。
何のために生きているのだろう。
生きていて何になるのだろう。
そう思って首吊りをしようとした瞬間に鳴ったインターホン。
偶然。無意識に開けたドアの向こうに、これから自分の生きる希望が。
自分とは真逆の明るく美しい母娘。
きっと真っ暗な心に光が見えた瞬間だったんだろうな。
思わず自殺を止めた。
その日から日常に色がついた。
朝挨拶するだけで、昨日までと違う。
アパートの薄い壁越しに聞こえる楽しそうな母娘の会話。
生きている事を実感できる。
ある日母娘が殺人を犯してしまう。
正当防衛なのだろうか。殺さなければ自分達が殺される。
不振な様子に気づいた主人公は母娘の部屋へ行き全てを察する。
その母娘の罪を完璧に消してしまう。
母娘に疑いがかけられても、決定的な証拠が何もない。
だって主人公が殺人を隠す為に更に殺人を犯し母娘の知らない罪をどんどん重ねていく。
主人公は母の事が好きだった。
最早好きという感情を越えて、母娘が自分の生きる意味だった。
私はそれを無欲の愛。そう思いました。
何の見返りもいらない。
何も知らなくていい。
想いに気づいて欲しいわけじゃない。
ただ、いつもの様に笑っていて欲しい。その一心。
好きな人を守るために人を殺せますか?
殺人は決して良い事ではない。悪い事。間違った事です。
でも無欲の愛の為に人間はそこまで出来るのだろうか。
それ程までに人を愛せるのか。
間違った事だけれど、それ程人を愛せる主人公が素敵に思えました。
それ程までに愛される事が羨ましい。
この小説は推理小説ではなく、最大の恋愛小説だと私は思っています。