サッカー:女子W杯 なでしこから勇気 がん患者の会代表、安藤選手応援--福岡
◇なでしこ雄姿、闘病に勇気 “分身ボード”で安藤選手応援
多くの人に感動を与えたサッカー女子W杯での「なでしこジャパン」の優勝。福岡市のがん患者とその家族でつくるNPO法人「がんを学ぶ青葉の会」(福岡市)の代表、松尾倶子(ともこ)さん(67)も勇気づけられた一人だ。家族ぐるみの付き合いというFWの安藤梢選手(29)のために手作りした応援ボードが毎試合、観客席で揺れ、安藤選手を鼓舞したが、松尾さんは「なでしこたちに逆に励まされた。会員にもこの感動を伝えたい」と話している。【三木陽介】
松尾さんは16年前に胃がんが見つかり、医師から余命半年の宣告を受けながら「絶対生きてやる」と治療を続けて克服。体験を基にがん患者とその家族が支え合える場を作りたいと、03年に青葉の会を設立した。会員約200人。がん治療の勉強会や講演会、交流会を開いている。
松尾さんが安藤選手と知り合ったのは2年前。浦和レッズレディースからドイツリーグのデュイスブルクに移籍した安藤選手の通訳を、現地の中高一貫校で教員をする長女馨さん(42)が担当したことが、家族ぐるみの付き合いにつながった。
松尾さんは6月に松山市であったW杯の壮行試合の応援に駆けつけた際、安藤選手に「W杯では応援グッズを届けるから」と約束。福岡に戻った後、青葉の会事務局長で印刷業の村田広志さん(63)と相談し、応援ボードを作ることを決めた。
2人は毎試合テレビで観戦。応援席で応援ボードが画面に映るたび、村田さんは「自分の分身が行ったような気がしてうれしかった」。凱旋(がいせん)帰国した安藤選手は松尾さんに電話で「ピッチからもボードがよく見えました。勇気づけられました」と報告してくれたという。
同会のポリシーは「あわてない、あせらない、あきらめない」。松尾さんは「なでしこの活躍は私たちの会の活動の励みになる」と話している
毎日新聞 7月23日夕刊記事